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第92話 寤寐思服 ※
光る糸を引いて悠ちゃんの唇が離れていく。
悠ちゃんが僕の頭を胸に抱き寄せて、静かに言った。
「玲、偉そうに言って悪かったな。おまえが決めることだから、おまえが友達に戻りたかったら戻ればいい。でも、またあいつがおまえを悲しませるようなことをしたら、その時は俺があいつを殴る。いいよな?」
「ん…。悠ちゃん、怒ってない?」
「怒ってないよ。だけどお仕置きな」
「なっ、なんで?やっぱり拓真を許したこと、怒ってるの?」
「…おまえが、俺のいない所で他の男と会ったから」
「他の男って…、拓真だよ?友達だよ?それに…マンションの前まで来てるなんて、知らなかったし…。そんなので怒られても…僕、困る…」
「うん。俺も自分で無茶苦茶だなって思う。だけど、抑えれねぇ。おまえは、俺の前だけで、喋って、笑って、泣いて、俺だけを見てほしい。他の奴なんか、その目に映してほしくない。俺は心の中で、いつもそう思ってるんだ」
悠ちゃんが話すたびに、悠ちゃんを見上げる僕の顔に、柔らかく息がかかる。僕に執着するその言葉に、言葉と共に吐き出される甘い息に、僕はうっとりとなって、目を細めた。
「玲、おまえを雁字搦めにしようとする俺のこと、怖くならないか?」
「ううん…。もっと僕を強く捕まえてて…」
「玲…、好きだ。俺から離れるな…」
「うん、離れないよ。悠ちゃん、大好き…」
そっと唇を重ねて、何度も角度を変えて啄む。だんだんとキスが深いものになっていき、そのまま抱き抱えられて悠ちゃんのベッドに連れて行かれた。
その夜、悠ちゃんは、丁寧に僕の身体中にキスを落として、じっくりと深く僕の中を穿った。
僕は悠ちゃんの温もりと匂いに包まれながら、どんなに好きだと言われても、どんなに深く繋がっていても、溢れ続けるこの愛しい気持ちはどうすればいいんだろう…と、涙を零した。
僕の涙を見て、更に強く抱きしめてくる悠ちゃんの背中に縋りつくと、僕も淫らに腰を揺らして何度も悠ちゃんを求め続けた。
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