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第119話 疑心暗鬼 ※
僕は身体をブルリと震わせて、焦りで額に汗を滲ませた。両足をモゾモゾと動かして、何とか尿意を逃そうとする。
「ゆ、ちゃん…、も、帰って来て…ぇ」
目を固く閉じ身体をプルプルと震わせて尿意に耐えていると、ガチャリと玄関が開く音が聞こえてきた。
「悠ちゃん…っ。早く来てっ。助けて…っ」
ドアに向かって力無く叫ぶ僕の声に、悠ちゃんが気づいてすぐに部屋に来てくれた。
「どうしたっ?大丈夫かっ」
悠ちゃんが、僕の傍に駆け寄り顔を覗き込む。涙に濡れた僕の顔を見て、大きな手で拭ってくれた。
「ああ…いっぱい泣いたな。ごめんな、玲。すぐに外してやるから。…暴れたのか?赤くなってる」
「は、やく…っ。ト、トイレっ、行きたいっ…」
手錠がはめられた僕の手首を撫でる悠ちゃんに、早く外してくれと懇願する。悠ちゃんは、手錠を外すと、僕を抱き上げて部屋から出た。
「あ…や…、自分で…行くっ」
「おまえ、身体が震えて歩けねぇだろ。俺が連れて行ってやる」
歩く振動にさえ、もう耐えれそうになくて、僕は黙って悠ちゃんの首にしがみついた。
トイレのドアを開けて、便座の前で降ろされる。僕は急いでズボンを降ろそうとして、まだ悠ちゃんが後ろにいることに気づいた。
「ゆ、悠ちゃん?出てってよ…」
「なんで?おまえ、手も震えてるじゃん。手伝ってやるよ」
「なっ、何言ってるのっ?いいからっ…あっ!」
僕の抗議を無視して、悠ちゃんが僕の背中に被さり、ズボンと下着を下ろして僕のモノをそっと掴んだ。それだけで、僕のモノがピクリと揺れる。それに、僕の首筋に悠ちゃんの吐息がかかり、背中からゾクリと痺れが広がって、僕のモノが少し反応してしまった。
「ほら…玲、そんなにしてしまったら、出し辛くなるじゃねぇか。後でいっぱい触ってやるから、今は早く出しちまえよ」
誰のせいでっ、と後ろにいる悠ちゃんを睨むけど、もう僕の膀胱はパンパンだ。
僕は悠ちゃんに見られていることなんて、もうどうでもよくなるくらいに切羽詰まっていたから、何度か深呼吸して落ち着かせて、ようやく尿を出した。
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