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運命の輪~a fateful encounter with him~

宗司:中2 和真:小6 *――――――――――――* 蘭がいなくなって混沌としはじめていた裏高楼街。 あれでは派閥の存在意味が無い、と、裏では各組が「派閥が機能しないなら高楼街をガキ共に任せる事はできない。それならやはり自分達が利権を手に入れよう」と画策し始めていた頃。 表には見えない水面下では、徐々に徐々に、運命という名の出会いがそれぞれの糸を手繰り寄せ絡み合っていた。 「ちょっとそこの少年!んなとこで見てるだけなら俺に加勢したらどうよ!」 深夜のお散歩中。裏路地へ入った途端に数名の少年達に襲われた宗司は、嬉々として応戦し相手をぶちのめしながらも、先ほどから視界の端に一人の少年がいる事に気が付いていた。 他人事だと思って呑気に見物かー? なんて最初は思っていたものの、中2の自分に対して明らかに年上の少年4人を相手にするのはさすがに面倒臭く、ついついその見物人に声をかけた。 加勢してくれるだろうなんて期待は微塵もなく、無視されるか、それとも逃げられるか、内心ではそのどちらかだろうと思っていた宗司の予測は、次の瞬間見事に打ち破られた。 「え?!俺っすか?!いや、あの、でも、お兄さん強そうだし俺必要ないんじゃ…」 視界の端でオロオロしている様子が見えて、思わず笑ってしまった。 本当に手助けが必要なのかどうなのか、いまいち判断がつかないらしくオロオロしている。 普通の人間なら逃げるか固まるかするだろうに。 ここでなんとなく宗司の感が閃いた。 決めた。コイツを拾って帰ろう。と。 そうと決まれば、こんな雑魚はさっさと片付けるに限る。 それまでは面倒臭さから実力の半分しか出していなかった宗司は、目の前の4人を一気に地に沈めた。 「…やっぱり俺の加勢なんて必要なかったんじゃないっすか…」 どこか拗ねたような口調がガキっぽい。 乱れた髪を手櫛で整えながら少年の前に立った宗司は、改めてその姿を眺めた。 小学生…にしては目付きが大人っぽく、中学生…にしては全体的に子供っぽ過ぎる。 若干タレている目元が幼さを強調して見えるだけなのか。 まだ成長期ピークが来ていないのだろう、背は小さく体格は華奢。 ここまでであれば普通の少年だが、目の前に立つこの少年には、それ以外の大きな特徴があった。 「お前、その髪いい色だな。自分でやってんの?」 「家が美容院やってるんで、親にやってもらってます」 そう、こんなチビ少年のくせに髪の毛が銀髪だった。これは目立つ。 「はい、自己紹介!」 「ぇえ!?自己紹介っすか?…えっと…えっと…、名前は和真で、12歳の小6。特技は喧嘩で、夢は総理大臣です!」 「…ッブァハハハハハ!」 堪え切れず爆笑しはじめた宗司に、和真少年はまたオロオロしている。 いくら自己紹介と言われたからって、本当にする奴がどこにいる。 それも夢は総理大臣って、どう考えても無理だろ。 おまけにこの妙な度胸。とても小6のガキが持ちえるものじゃない。 「いやー、お兄さんキミの事気に入っちゃったわ。ちょっと一緒に来てくれる?」 「え!?一緒にって、どこにですか!?っていうかお兄さん誰??」 「俺は宗司。ピチピチの中2。危ないとこじゃないから安心して誘拐されなさい」 「危なくなければ行きますけど…。…って、ぇえ!?誘拐って危ない事じゃないっすか!?」 アホなのか性格なのか…。とにかく和真少年のボケっぷりは最高だ。 誘拐と聞いて固まったその腕を思いッきり鷲掴んだ宗司は、 「え?え?」 といまだに状況についてきていない和真を無理やり引き摺って歩き出した。 …さぁて、神はなんて言うかな…。 内心でほくそ笑んだ宗司だった。

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