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余談その1:清嗣という男
稗田組の若頭であり、苑の右腕と呼ばれる男。それが清嗣である。稗田組の組員からも、そして他の組からも恐れられている男である。
そんな清嗣の毎日の日課は、はじめの盗撮である。
そもそも、はじめの盗撮をするきっかけになったのは組長である苑の命令だった。
盗撮は犯罪でいけないことだと分かっていながらも、そもそも自分達の存在が犯罪者っぽいしいいんじゃね?という苑の考えにより、はじめが稗田組の屋敷で働くようになっても盗撮を続けている。
まず、朝早くにはじめの部屋に忍び込みパシリ。足音をたてないよう侵入し、カメラも暗闇でもキレイに撮れる高性能のものを使用している。高性能の為、シャッター音がならないようになっている。
はじめの寝顔を、バレないように何回も撮っておく。そして、苑が満足できると撮った写真を見て感じられたら、音をたてずに部屋を去る。
今日もまた、苑が喜ぶであろう可愛いはじめの写真が撮れた。
そして撮った写真は、すぐに現像する。苑が写真をすぐ部屋に飾れるようにする為だ。
現像も終わり、今日のはじめの寝顔が写された写真を持ち苑を起こしに行く。写真をすぐに見せた方が、苑はものすごい喜ぶのだ。
「おはようございます、組長」
「あぁ。それで?今日のはじめくんは、」
「こちらです。この、キス顔になっている寝顔が1番だと思います」
「おぉ。お前、だんだんとはじめくんの魅力が分かってきたな」
可愛い。
はじめの写真を見ながら、寝起きの苑が笑う。その笑顔を見るたびに清嗣は思うのだ。
この人の笑顔のために頑張ろう、と。
「え?盗撮は清嗣さんがしてたんですか!?」
「はい。あんな写真からこんな写真まで、すべてです」
「やめて!今すぐやめてください!!」
「では、はじめ様が組長とお付き合いをしたら盗撮を止めます。何せ、一緒の部屋で寝ることになると思いますので」
「………………やです」
「おや?今の間は、もしかして悩んでいるのでは、」
「悩んでません!!!」
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