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その16:デートをしましょう
「俺達、そろそろデートをしていい頃だと思うんだよね」
休日。今日は屋敷の大掃除をしようと、はじめが掃除道具を手にしていた時だった。いつの間にかはじめの後ろに立っていた苑が、ニコリと笑いながら言った。
いや、掃除するし。はじめは最初、そう断るつもりだった。しかし、苑の笑顔を見てしまえばそれはできなかった。
だって苑は、もちろん断らないよね的なキラキラとした目をはじめに向けていたのだ。
そんなキラキラとした目と視線が合えば、どういうわけか断れない。絶対に、苑が気になるからとか思いたくはない。
「……………どこに行くの?」
「デートはもちろん映画でしょう。あ、暗闇の中ではじめくんに触ろうとか思わないから!」
「その顔、する気満々じゃん」
さっきの笑顔から一変、今度はデレデレニタニタとした表情に変わる。これは、苑が変態なことを考えている時の表情だ。
断ろう。触られたくもないし。
そう思っているが、苑の行動力にはじめが勝てるわけにもなく。
いつのまにか、2人きりでデートをすることになった。
「………あの」
「何?」
「手を繋ぐのをやめてもらいたいんですけど」
「え?ヤダ」
外を歩いている間、苑はずっとはじめの手を握っている。はじめが何度離そうとしても、手を繋ぐと言って聞いてくれないのだ。
さっきから、自分達を見る視線がいたい。
それと同時に、はじめの心臓もヤバかった。
デートだからか、いつも以上に苑はイケメンに仕上がっていて。それを見た瞬間、これはヤバイぞと思うようになった。
かっこいい。これなら、抱いて!と叫びたくなるという感じで。
「そう言えば、はじめくん。今日はなんの映画を見るの?」
「ゾリギュア」
「ゾリキュア?」
「ゾリギュアを見るぞ」
苑的には、ラブロマンス的な映画を見ようと思ってたんだろうけど。はじめは、そんな簡単に行くような男ではなかったのだ。
「ゾリギュアでいよね」
「……………はい」
しょぼんとなった苑が可愛くて、はじめは自然と苑の頭を撫でていた。
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