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その17:約束をしましょう

「…………ごめん、はじめくん。俺、ゾリギュアがこんなに素晴らしい映画だとは知らなかったよ。作品名も、ゾリキュアって間違えるくらい興味なかった自分が情けない……ッ!」 「俺も。ただ、苑さんを困らせるためだけにこの映画選んだんだけど、こんなに感動的なものだとは思わなかった………ッ!」 「あなどれないね」 「はい。あなどれないです。幼女アニメ」 ゾリギュアを見終えた2人は、泣きながら映画館から出てきた。たかが幼女アニメだと思っていたが、素晴らしいものだった。 悪の組織と戦う女の子戦士、ゾリギュア。懸命に悪と戦うゾリギュアの姿に、気づけば心を惹き付けられ、そして悪の組織に勝った瞬間泣いていた。 ラブロマンス映画よりもいいものを見れた。幼女ものの映画を見て泣いている男2人組を、変な目で周りは見ているが。それが気にならないぐらい、2人はゾリギュアを好きになっていた。 「これから俺、家でもゾリギュア見ようかな」 「俺も見るつもりなんで、苑さん、一緒に見ましょうね」 「……………………は、はじめくんからのお誘い!?」 ただ一緒のテレビ番組を見ようと言っただけなのに、苑はものすごい喜んだ。そりゃあ、大好きなはじめからの誘いなのだ。 はじめからすれば、ただテレビを一緒に見るだけなのだが。苑にはそれすらすごいことなのだ。 「そこまで喜ばなくてもいいですよね」 「喜ぶよ。だって、大好きな人との約束だ。絶対に俺は守るから、はじめくんも守ってね」 苑が自分の小指をはじめの前に差し出した。 「ほら、指切りげんまんしようよ」 「そこまでしなくても、約束は守りますよ」 「だぁめ。俺がしたいの」 ね、と子犬のような顔でお願いされてははじめには聞くという道しか残されていない。 苑のかっこいいけれど可愛い表情を、これ以上周りに見せたくない気持ちが、恥ずかしいという気持ちよりも上回って。ソッと、苑が差し出した小指に自分のそれを絡めた。 「ほら、指切りげんまんです」 「うん。約束、ね」 絡めた小指を苑は引っ張ると、そこに1つキスを落とした。 この瞬間、周りからもはじめからも悲鳴が起こったのは言うまでもないだろう。

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