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第9話
前立腺を重点的に攻め続ける。
拒絶の言葉は絶え絶えになって喘ぎのほうが凌駕している。
たっぷりローションをそそいだ後孔は指を動かすたびにグチャグチャと音を鳴らし溢れていた。
指は二本に増やしている。
ほぐすように指の腹で肉壁を擦って前立腺を弄る。
痙攣する遥の身体。
俺の指を咥えた少し上には、さっきまで萎えていたはずのものがだんだんと首をもたげ硬度を増していた。
「……っん」
顔を背けて必死に声を耐えようとしてる。
だけども抑えきれてない甘ったるい声に背中がぞくりとする。
初めてのくせに淫らに悶えている姿を見るだけで頭の中は高揚感でくらくらする。
遥を攻めているだけでこの調子だと先が思いやられるな。
自分に呆れながら胸の内で冷笑を落とし、また指を一本増やした。
「遥、どうだ? いいだろ。お前もまた勃たせてるし、な?」
指を動かしたまま、片方の手で遥の腰を持ち上げる。
腰が浮いたことで遥の目に、俺の指を咥え込んだ後孔や先走りを滲ませる遥の半身がさらされた。
目を見開いた遥は一瞬凍ったように表情を全身を強張らせる。
後孔も激しく締めつけてきた。
ぐっと力をくわえて前立腺を強めに擦ると、我に返った遥が再び身体を捩りだす。
「や、や、……っや、だ、……いや……だ……っあ」
いったいどれだけ流れるんだろう遥の涙。
「イヤ? ほらいい加減認めろよ、イイって。指咥え込んで後孔弄られて感じまくってるって認めろ」
淫乱。
最後そう囁けば遥は力なく首を振った。
堕ちない。
どれだけ行為を進めようが、遥は堕ちないだろう。
だが身体はもう―――堕ち始めてる。
涙を流しながら拒絶しながらも、後孔で指が動くさまを呆然と見つめている姿に自然と笑いが出た。
堕ちなくていい。
だから、身体だけ―――とっとと堕ちろ。
遥。
と、低く名前を呼び、俺を見る遥におそらくひどく歪んでるだろう笑みを見せ、ずっと放置したままにしていた半身を口に咥えた。
「……ッひゃ、や、や!!! ンッ、あ、だめッ…っ!!」
大きく遥の身体が跳ねる。
後孔を犯したままのフェラは刺激が強すぎるらしい。
舐めてしゃぶるたびにどんどん膨張していく遥の半身。
それに絡めた舌に感じるぬめり。
無味といっていい先走りを味わいながら後孔を三本の指で突き上げる。
「っや、あ、っあ……だめ、……せ、せんせ……っあ、やめ……ッ、ひ……っ!!」
先走りの量が増えていき大きく震えだす遥の太腿を指でなぞる。
「あ、っあ……いや、や、ああ……っっ」
拒絶しすぎて枯れてきている声が引き攣った悲鳴をこぼす。
そしてもう何度目かの絶頂を遥は迎えた。
「……っ……ぁ」
焦点のあっていない瞳。
背中をしなら痙攣する時間が前よりも長い身体。
射精だけじゃない、後でのオーガニズムも加わったせいか傍目に見ても遥のイキかたは激しく長引いていた。
それを眺めながら遥から指を引き抜く。
「ん……あ」
自分から出ている声の甘さをこいつは気づいてるんだろうか。
ぐったりとしたまま動けずにいる遥は荒い呼吸でぼんやりと視線を宙にさまよわせていた。
異様に静かになった室内に響くのは変わらず外で唸るようになっている風や雨の音だけ。
そして、小さく響いた封を切る音と衣擦れの音。
遥はそれにまったく気づいてない。
「おい」
笑えるくらい猛り、一度も触れていないのにすでに先走りを滲ませている半身にゴムをつけ、先端をそこへ触れさせる。
ゴム越しなのに、たったそれだけで身体中の血が沸くのを感じた。
「遥」
「……ん……」
「これからが、本番だぞ?」
遥が俺の言葉を認識する前に――
俺はぐっと腰を押し付け、俺の半身を遥のナカへと沈ませていった。
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