11 / 76

第10話

指で慣らしはしたが、スムーズには入らなかった。 質量が違う俺の半身に遥は驚いたように俺を見て、そして視線を落とす。 今は俺が腰を引き寄せているから遥の位置からは結合部は見えないだろう。 だけど、はっきりと何が行われてるかはわかるはずだ。 肉壁を押し広げながら腰を進めていく。 熱く締めつけてくる内側に気を抜けばあっという間に持っていかれそうだ。 「イ……ッ」 信じられない、といった表情で痛みに顔を歪ませる遥。 「どう? 突っ込まれた感想は」 乱れそうになる息をなだめながら声をかける。 愕然としている遥は唇を震わせていた。 なにか言いたそうにはしているが、衝撃が強すぎるのか言葉が出ないらしい。 「ほら、お前と俺と繋がってんぞ?」 ローションの滑りをかりて、少し強引に根元まで一気にねじ込んだ。 「ひ…ッ、っああ」 遥の身体が大きく揺れる。 遥のナカは熱すぎてきつすぎて狂いそうになる。 本能のままに動きたくなる。 それを押さえこんで遥の身体に密着するように身体を寄せた。 動かしてはないが体勢的に一層深く挿ったのか眉を寄せて遥が呻く。 「遥。わかるか、俺が」 お前を犯す、俺のものが。 至近距離で顔をのぞきこめば、止まっていた涙がこぼれ出す。 「……な、ん……で」 なんで? ―――そんなもん、決まってる。 「せんせ……っ、なんでっ」 ぐずぐずとしゃくりあげる遥の目元を、頬を舌で味わうようにゆっくり舐める。 いやだと首を振る遥に、埋まっている半身で奥をノックするように腰を動かした。 「ンッ、ぃ……った」 快感にはまだ遠いだろう。 苦痛に息を荒げている遥の唇に唇で塞ぐ。 驚いたように縮こまる舌を無理やり絡めて、吸い上げて、舐めまわす。 手を密着した身体同士の隙間に潜り込ませ遥の胸の突起を抓った。 「……んっふ、ンンっ」 挿入で萎えかけてきていた遥の半身が俺が身体を揺することで腹部で擦れあいまた硬さを取り戻す。 ころ合いを見計らって、ゆっくりと腰を動かしだした。 前立腺を狙いながらゆっくり、深く突き動かす。 「ッ、ん、ぁ」 キスの合間に漏れてくる声はやっぱり甘い。 散々時間をかけて開いてきた身体。 そのせいかもう俺のものに馴染みだしているような気さえする。 「遥」 俺を見ろ、と片手を頬に添えた。 「イイ、だろ?」 遥は首を振る。 「腰、揺れてるぞ?」 嘲笑えば、遥は大粒の涙をこぼし、だが後孔は一層きつく俺を締めあげる。 「お前は俺のが好きだってさ」 涙でぐしゃぐしゃになって絶望と恐怖と快感をない交ぜにした顔が――― 笑えるほど、愛おしい。 突くたびに震える身体も、聞こえ漏れる喘ぎも、全部狂ったように俺を駆り立てる。 「お前は俺に犯されて感じてんだよ。わかってんだろ?」 もう遥はなにも言わずにすすり泣いて―――ヨガった。 キスをやめ、遥の脚を抱えて馴染みきった結合部から音がするくらいの律動を始めた。 「……ひ……ッあ、や……っああ」 俺に突き動かされ揺さぶられる遥はもう喘ぐだけ。 遥を追い込めば追い込むほどに俺も追い込まれる。 響くのは腰を打ち付ける音とローションの溢れる音と、そして俺の息遣いと遥の息遣いと喘ぎ。 もう雨の音さえも聞こえなかった。 夢中になって遥に杭を打ち込み続け――― 遥の唇が寝言でも呟くように微かに動いた。 『イク』 と、確かに動いて、音なく聞こえたその言葉に俺は激しく腰を打ちつけて白濁を吐き出した。

ともだちにシェアしよう!