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第24話

「ありがとうございました」 そして約束通り先生のアパートを6時に出て、30分後には僕の家の近所についた。 いや、と聞こえるかどうかくらいの小さな返事のあと車は去っていく。 僕はそれを見送って家に入って、リビングのお母さんに声をかけて自室に向かった。 バッグを下ろしてベッドに身体を投げ出すように飛び込んで枕に顔をうずめる。 今日一日がとてつもなく長いものだったような気がする。 午前中に先生の家に行って―――犯されて。 そのあとお昼を食べて、勉強をして、そして―――。 ほんの二時間ほど前にまた開かれた身体はまだ少しだけ熱を残しているような気がして寝がえりをうつと膝を丸めて目を閉じた。 いつもと違う過ごし方。 昼前に出掛けたときは不安ばかりだったのに、帰ってきたいまはよくわかんないけどモヤモヤとしたものが心の中に広がってる。 よく、わからない。 勉強がひと段落して休憩しようとなってココアを出されてそれを飲んで、そして先生と視線があって。 先生は僕から視線を逸らせて何かを見て、僕はその視線を追ってそれが時計だってことを知った。 気にかけてたのは僕が帰る時間? 時計の針は4時にかかるくらいだった。 僕はそれを見てあと二時間なんだって思って、そしてまた先生を見たら目があって。 のしかかる重みはまだ残ってる。 二度目はリビングでだった。 ラグの上で、先生に抱かれて―――。 『――遥』 始まりの合図である名前を行為の最中に呼ばれた。 先生が僕の名前を呼ぶ回数は少ない。 今日会って3回だけだし。 その3回目は余裕のない掠れた低い声。 なぜか背筋が震えてしまうような響きのある声で僕の名前を囁かれたけど、後ろから貫かれていた僕は先生がどんな表情をしているのかは見えなかった。 だけど、なんだか……なんなんだろう。 「―――先生は」 どうして僕を、抱くんだろう。 恐怖や不安じゃなく、単純にそう初めてその日僕は思った。 ***

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