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第34話

ドアが開く音。 カーテンが開く音。 ドアが閉まる音。 カーテンが閉まる音。 ワンテンポ遅れてその音が続いて、話声が始まる。 「ごめんなさいね、葛城先生」 「いえ。さっき目を覚ましました」 「あら、よかったわ。それで様子は?」 「大丈夫そうです。寝不足だったらしくてぼうっとしていたところでボールが当たったそうです。タンコブが出来てましたが本人はとくに吐き気などもないようで―――……」 先生が保健の宮崎先生に話している声を頭から布団にかぶった状態で聞く。 先生は僕のけががたいしたことはなさそうだっていうことと、寝不足だからあともう1時間寝せてやってほしいってことを宮崎先生に伝えていた。 宮崎先生は笑って仕方ないわねぇ、って言いながら了承してくれて、そのあといくつかのやりとりをしてドアの開閉する音が響いた。 部屋から消えた先生の気配。 椅子が軋む音がしてカサカサと書類をめくっているような音が響きだす。 それ以外は静かで、静かすぎて―――僕の心臓の音が聞こえるんじゃないかって思うくらいに静かだ。 どうしよう。 布団の中でぎゅっと目を閉じて体操服を握りしめる。 ほんの少し体操服越しに触れた自分の肌。 それだけでびくりと震えてしまう。 どうしよう。 さっき、先生に―――イかされたばっかりだっていうのに。 もう先生はいないのに、反応しそうになってる半身にどうすればいいかわからなくて。 だけど頭の中はついさっきまで確かに僕に触れていた先生のことばかりで、身体はどうしようもなく熱い。 『―――っ』 先生の手を掴んだのは僕で、だけど、僕に落ちた影の先は予想もしてなくて。 *

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