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第41話

考えても考えてもどうしてこうなってしまったのかわからない。 その日は眠れずに気付いた時には朝日が昇っていた。 寝不足でぼうっとした頭。 でも眠くはなく全身を覆う倦怠感に思考がうまく働かない。 でもそっちのほうがいい。 先生のことを考えて、うまく考えれなくて、だから先生から言われたことを実感できてないから。 不安と恐怖と、まだ信じれない信じたくない想いを抱えたまま朝ごはんも食べずにいつもより早く学校へ向かった。 先生と同じ場所にいるお思えば少しほっとする。 もちろん先生は―――僕を見ないだろうけど。 先生はもう学校に来てるのかな。 数学の教科書を出してパラパラめくる。 今日は一時間目が数学だった。 予習復習できるほど落ちついてるはずもなくて無為に教科書を眺めてるだけ。 早く、先生の声が聞きたい。 教室の中に増えていくクラスメイトたちの声をぼんやりと聞きながら先生が来るのをじっと待った。 そしてそれから40分近くしてようやく先生が教室に入ってきた。 学級委員が号令をかけて挨拶をして席について、その間もずっと僕は先生を見ていた。 目が離せなかった。 もちろん先生は僕のほうを見ることなくて、出欠をとるときも一切視線を向けられなかった。 澤野―――と事務的な声だけ。 はい、と馬鹿みたいに震えそうになってた僕の声。 いつもと変わらない様子の先生。 朝のホームルームが終わってそのまま数学の授業が始まってからもずっと僕は先生を見ていた。 見てるだけでなにかなるわけでもないのに。 こんなにも近いところにいるのに先生が僕を見ることも喋ることもない。 他のクラスメイトのところではたまに立ち止まったり視線を向けたり、質問に答えたりするのに、僕のところには全然こない。 自意識過剰、被害妄想? 違う、違う。 別に誰も不審になんて思いもしない。 誰も僕と先生の関係を知らないから。 知らないまま、誰にも気づかれないまま―――僕と先生の接点は……消える? もちろん知られたらダメなんだろうけど、なんだかすごくいままでの全部がなくなってしまうって、まるで夢だったかのようになってしまうようでいやだった。 恐怖から始まって不安ばかりだったけど、でも、でもなかったことにはしたくない。 ―――先生。 あっという間にチャイムが鳴り、授業の終わりを知らせる。 目線なんて一度も会うこともないまま僕は教室を出ていく先生の後ろ姿を見送る。 だけどいてもたってもいられなくて僕はノートを掴むと先生のあとを追った。 先生の歩く速度は早くて、階段に差し掛かっていた先生を震える声で呼びとめた。 「先生っ」 でも止まらない先生。 「か、葛城、先生っ」 名前で呼びかけてようやく先生は立ち止まってくれた。 階段を二段ほど降りたところで先生が振り返る。 まわりには生徒たちも多いし、こんなところで昨日のことなど話せることはないけれど。 「あの、先生」 放課後に時間を取ってほしいってそれだけでも言いたかった。 「先生―――」 「澤野」 先生が一段二段と階段を上って僕の傍に立つ。 まわりには生徒たちも多いし、こんなところで昨日のことなど話せることはないはずなのに。 「俺に―――話しかけるな」 僕を見る先生の目が一瞬昨日の続きのように冷たく光って。 先生は僕に背を向ける。 昨日と同じように。 「――……なんで」 なんで。 考えても分からない。 考えることもできなくて。 立ちつくして霞む視界を手の甲で強く擦ってノートを握りしめた。 ***

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