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第69話
数度上下に手を動かすと硬度が増す。
さらに刺激を送ろうとしたら、「先生」と躊躇いがちな声がかかった。
「どうした?」
聞きかえしはしても止めるつもりはなく、遥の半身を扱きながら内腿へと舌を這わせると遥が上半身を起き上がらせて俺の肩を手で押してくる。
「あの、シャワー浴びたいんですけど……」
「どうせ汗かくんだからあとで入ればいい」
遥のものに触れたまま、また遥の身体をベッドに沈め覆いかぶさった。
首元に顔をうずめようとしたら「先生っ」と抵抗にあう。
さっきまで身を任せてたはずなのになんでいまなんだ?
下から見上げれば遥は困ったように眉尻を下げ視線を彷徨わせた。
「……シャワーだけ浴びたいです……。鈴木先生に触られたから」
その時のことを思い出したのか顔を強張らせた遥は「汚い……から」と泣きそうに呟いた。
「……悪かった」
遥の髪を撫でそっと額に唇を押し当てる。
鈴木が遥を抱かせろと言ってきたとき、最終的に受け入れたのは理不尽でしかない俺の勝手な都合。
遥の気持ちが俺に向いているのはわかっていても―――俺にとってそれは素直に受け入れられなくて。
遥が鈴木に犯されれば俺へが犯したことを思い出して、そうされて好意を持つなんてことがおかしいことに気づくんじゃないかと思った。
もともと好意を持っていた鈴木に迫られたら流されるかもしれないと思ったのもある。
「悪かった。ーーーもう二度とお前を俺以外に触らせたりしない」
謝って許されることじゃない。
鈴木は本気じゃなかったかもしれないが遥にとっては恐怖でしかなかっただろう。
遥が必死に抵抗してる姿を見て―――俺への嫌悪を思い出せばいいと思いながら、鈴木を受け入れないことにホッとして、同時に他の男に触れらてるのがイヤでたまらなくて。
俺のせいなのに鈴木を殺してやりたくなったつい1時間ほどまえの出来事。
快感によるものじゃなく目を潤ませた遥が俺の謝罪を聞きながら、微笑んだ。
「もう、いいです。すごく怖かったけど、いやだったけど、でもそれがあったからいまこうして先生が僕のそばにいてくれるんだから」
遥の目に迷いや戸惑いなんてものは欠片もなく真っ直ぐに見つめてくる。
綺麗な瞳に俺はなんて返せばいいのかわからず、代わりにキスを落とした。
嬉しそうに笑う遥は可愛くて俺は誘われるようにまた動きだす。
「んっ、先生っ、シャワー浴びたいっ……て!」
「別にいい。鈴木がクソ汚いのは事実だが、あいつが触ったからってお前は汚くなんてない」
「で、でも」
「それとも風呂でヤりたいのか?」
遥の半身を焦らすようにゆっくりと指先で撫で上げれば、顔を赤く染めた遥は一瞬目を丸くして首を振った。
「そういうんじゃ」
「じゃあもう大人しく抱かれろ」
いい加減理性も限界だ。
胸元に唇を押しつけながら言えば、遥は恥ずかしそうに目を伏せ身体から力を抜いた。
久しぶりに触れる身体は敏感になっているようで舌を這わせるだけで小さく震え火照る。
朱に染まった肌。膨らみのない胸のその先端を口に含むと遥は小さく声をもらして口元を押さえた。
声を我慢する必要なんてない。
そう言うのは簡単で、だからこそあえて言わずに堪えれずに声をあげさせるほど感じさせてやればいい。
恥じらう姿も俺を煽るだけってことを遥は気づいてないだろう。
俺の手にある遥の半身を掌全体で包み込んで摩擦する。
胸と同時に弄られて気持ちいいのか半身からは先走りが溢れだす。
手を濡らす感触に一層煽られて、もっと溢れだせばいいと扱きあげる。
「っ……ンっ」
胸の先端を甘噛みして舌で嬲って。
「せ、せんせ……っ」
小刻みに身体を震わせる遥が抵抗するように、だけど力なく俺の髪をつかむ。
まったく痛くもないその動作は逆にもっとして欲しいと言ってるように思えるのは俺の願望か。
何度も犯した身体。
感じる部分なんて知りつくしてる。
もともと弱かった部分が完全な性感帯に変わるよう教え込んだのは俺だ。
身を捩って目を潤ませる遥の胸を執拗に責めながら半身を弄り続けた。
「先生っ……ヤ……っ、なんでそこばっかり、んっ」
弱々しく首を振る遥の頬は上気しきっていて熱い吐息は荒く空気を揺らす。
俺の手の中で遥のものが脈打ち限界が近いことを知らせてくる。
さらに追い込むように胸の先端に歯を、半身へ爪を立てれば遥は眉を寄せ身体を強張らせた。
「ッ……あっ、ぁ」
同時に手にじわりと広がる熱。
「早すぎだろ。そんなに溜まってたのか?」
濃い白く濁った体液を晒せば脱力した遥は羞恥に目を泳がせた。
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