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第70話

「……だって」 呟いて唇を噛みしめた遥が頬を染めながらもどこか拗ねたような顔をする。 その珍しい表情に内心驚いていたらか細い声が続いた。 「……先生以外……自分でもしない……し。それにもう喋ってももらえないかもって思ってた先生に触られて我慢できるわけないです。でも」 ちらりと伺うように俺を見つめる眼差しは艶やか過ぎる色を放っている。 「僕……先生のでイキたかったのに」 「……」 こいつは自分がなにを言ってるのかわかってるんだろうか? 出会ってからずっと振りまわされ、溺れさせられてるのは俺だってことを知ってるんだろうか? 「……優しくしようと思ってたけど無理だな」 思わず漏れた言葉に遥が目を見開く。 遥の脚を抱えながら戸惑いに揺れるその目をじっと見つめ、口元を緩めた。 「俺をこれだけ煽って……今日は寝れると思うなよ?」 遥の吐き出した白濁を後孔へと擦りつけるように指先で窄まりを触れれば遥はすぐに破顔し、そしてまた煽るようなことを言ってきた。 「はい……ずっと、先生の感じてたいです」 「……お前」 どこでそんな言葉覚えたんだよ。 目眩がしそうなくらいの呆れは興奮のせいでもあって、同時に本当に容赦なく遥を食いつくしそうなほどの激情にうめつくされていくのを感じたせいでもある。 「もう、煽るな」 俺の名前だけ呼んで喘いでろよ、と唇を塞ぎ狭く閉ざされた後孔へとゆっくりと指を侵入させていく。 「ッ、ん。……っ」 久しぶりに触れた内側はひどく狭くきつく、激しく熱かった。 指一本だけでもその内の締めつけにますます煽られる。 遥はきっときついだろう。 身体が強張って、それを宥めるように肌を撫でながらキスを繰り返していけば次第に力は抜けてきた。 「っ、ぁ……理哉……せんせ」 キスの間に熱を孕んだ声で名を呼んできた遥は俺の背に手を回ししがみつくように抱きついてくる。 「もっと……早く、んっ……いれてほしい、です」 ―――本当に、こいつはどれだけ俺を引きずりこむんだろう。 まだ触れ合い出したばかりだというのに、酩酊してしまうくらいの濃密な空気に。 俺は抗う術も、つもりもなく、沈むように溺れていくのを感じた。

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