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第72話

「ああ。そう呼んでろ」 最後はグンと力強く奥を突く。 「無理、ですっ、っひ、ぁ」 びくりと遥は身体を跳ねさせながら恥ずかしそうに首を振る。 遥の顔の横に両手を置いて、目を細め見下ろし腰を動かしていく。 「……っ、ん」 久しぶりだからゆっくり、と思ってはいても熱い後孔と遥の次第に快楽に侵されてきている表情を見ればセーブすることなんてできない。 「んっ……ぁ、あ、理……哉さ……」 突き上げるたびに甘く漏れる声に誘われるように激しくなっていってしまう。 「……悪い。あんまり持ちそうにないかもれない」 情けないけど、あっというまに限界が来そうで先に言っておけば遥は手を伸ばして俺の頭を抱くようにして引き寄せた。 「僕も、……っ、あ、すぐイッちゃ……そう、ですっ」 遥が顔を傾け微かに触れ合う唇。 「……お前、本当……」 煽るなよ、という言葉は激しく舌を絡め合わせることで消えた。 あとはもうひたすら貪る。 「んっ……んぅ」 キスをし続けたまま何度も何度も突き上げる。 互いの体温が混じり合うくらいに肌を密着させる。 耳に聞こえるのは唾液の混じり合う音なのか結合部から響く水音なのかわからないくらいに頭の中は熱に侵されて思考も理性も溶けていく。 ただひたすら混ざり合い深く繋がるために絡み合う。 俺と遥の間で擦れる遥のものがどんどんぬるぬると蜜をあふれさえていくのを感じながら無我夢中になって腰を動かす。 それでも前立腺を擦っていたせいもあってか、遥のくぐもった声が咥内に響いてきた。 「んんっ……」 同時に熱いものが肌と肌の間で放たれる。 痙攣する身体。後孔にうまっていた俺の半身がきつく締めつけられ俺もまたたまらず遥の中へと欲を吐き出した。 「……ぁ、理哉……さん……っ、熱い……」 焦点のあっていない目で陶然と呟く遥に俺の欲は治まらず、それから繋がったままもう一度した。 さすがに二回目は俺も余裕が出て俺がイク間に遥は二度イった。 倦怠感を覚えながらもそれは不快じゃなく、力なくすり寄ってくる遥を抱きしめて荒くなった呼吸を整える。 すこし汗で湿った遥の髪に触れていたら穏やかな寝息が聞こえてきた。 静かだと思ったら寝てしまったらしい。 遥のことだから昨日の夜は寝れてないんじゃないだろうか。 俺に擦り寄り、目を閉じている遥の目の下にはうっすらとクマができていた。 それをそっと指でなぞりもう一度抱きしめ直して俺も目を閉じた。 心地よい体温と睡魔に襲われる。 起きたら風呂に入らなきゃいけないな、と考えながら俺もいつのまにか眠りに落ちていった。

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