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月曜日(2)(side 凪桜)

昨日乾かさなかった髪がボサついてる。まぁいいか。 狭くて動きづらいユニットバスの洗面所で髪をとかしカットソーにジーンズ、カーディガンを羽織る。思いのほか天気が良くて暖かい。 ホテルの前に出て立ち止まると真誠さんが僕を目指して歩いてきた。よく寝れたのかな。疲れてる翌日に誘ってよかったのかと今更思っている。 「おはよう、どこに行く?」 と、声をかけると一瞬考えたような間の後に今度の連載のモデルになる病院を見に行こうという話になり、駅とは違う方向の坂道に向かって歩き出した。 真誠さんが新しい作品の登場人物のことを実在する人を紹介するように話してくれたり「あの横断歩道で」など指差しながら楽しそうにしているのを見るだけで僕も楽しい。50センチ先にいる真誠さんが僕にとって実在の人物になったこともなんだかくすぐったい。 なんだろう、この感覚。 坂の途中で草や木の匂いがして振り返ると曲がり角に深い緑色が目に入った。フラワーショップというよりグリーンショップとでもいうのか。ガーデニングと観葉植物のお店のようだ。この一角は時の流れがゆっくりと進んでいるように見える。真誠さんもそっちを見ていて僕と目が合うと笑顔になった。 そんな瞬間がスローモーションに感じていたのは何? このお店の雰囲気に惑わされてる? 信号待ちの間も真誠さんはこの先の道の説明と病院の話をしていたけれど、僕はその横顔ばかり見ていた。 病院が見えてくると僕は歩道や外観を写していった。時々、真誠さんの後ろ姿も写した。 病院の中は通路兼待ち合いのようなところが全部吹き抜けでトップライト。開放的で明るい作りになっている。 僕は挿絵に必要かどうかは別として、吹き抜けの階段や天井の形や梁も気になってたくさん写した。奥から順に出入り口まで写真を撮りながら外に出ると、真誠さんがちょうどこっちを向いたからシャッターを押した。初めての顔写真。真誠さんは顔を赤くして 「写真は苦手なんだ…」 と、下を向いてしまった。 「だっていい顔してたから」 そう言って写した画面を見せると耳まで赤くして僕を見た。 ちゃんと視線を合わせて。

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