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月曜日の夜(4)(side 凪桜)

きれいにたたまれたバスタオルと、真誠さんのかな、スウェットが置いてあった。部屋でくつろぐにはいいよね、ありがたい。 髪を拭いてからキッチンを覗くと真誠さんは鍋を見つめていた。手は止まってる。 また何か思いついたのかなと近づくと鍋の中で白菜と肉が、重ねて切られた断面を見せて並んでいる。きっとこの高さが気になったのだろう、指先が段差をなぞってる。 「お腹にはいれば同じだから気にすることないよ」 やっぱり几帳面なのかな。いや、段差ができてる時点でそうでもないのかな。 真誠さんがミネラルウォーターを手渡してくれたから風呂上がりの水分補給をして真誠さんにもお風呂をすすめた。僕だけさっぱりしてるのもなんだし。鍋の準備くらいならできるだろうし。 大根をおろしながらすっかり寛いでる気分になっていることに気付く。初めて来た真誠さんの家でいきなりシャワーを浴びスウェットも借りキッチンで大根をおろしている。デジャヴュのように違和感のあるような無いような、不思議な居心地。 学生時代の一人暮らしの時の間取りを反転させたような感じだからそう感じるのかもしれない。 思ったよりしっかり固い大根をすりおろし終わって手を洗う。さて、戸棚は開けてもいいのかな。真誠さんは料理酒とか常備してないよね。無くてもいいけどもしあったら美味しくなる。 テーブルはたぶんあそこのベッドの横のを使うんだろう。コンパクトにまとまってて生活空間がギュッとそこに詰め込まれてる感じ、懐かしい。だけど僕の部屋はこんなに整頓されてなかったな。 「お待たせ」 真誠さんはお風呂から扉を開けて声を掛けてきたから 「日本酒とか料理酒とかある?」 期待を込めて聞いた。 「そういえば冷蔵庫に小さいビンのがあるけど、古いかも」 「いいんだ、そのまま飲むわけじゃないから。ちょっとでも入ると美味しくなる。冷蔵庫あけるよー」 小瓶の日本酒は未開封だったから日付など気にせず少し香りを確かめて鍋に多めに注ぐ。 「少し煮てからそっちに持っていくのでいい?」 と聞くと、真誠さんは首にタオルをかけたまま戸棚からカセットコンロを出してテーブルに置いて振り向いた。 「そうだね。凪桜さん、あとやるからこっちで座って」 「え、手伝うよ。っていうか、もうあとは煮るだけかな」 「うん、ここどうぞ」 今時な感じのクッションのような座布団を置いてくれたからさっき買った飲み物を持って座ろうとした。でも真誠さんが座るであろう場所からすると正面になる。座布団を持って斜めの位置に置いた。向かい合うよりいいかなと思って。 「あれ?」 「こっちでもいい?向かい合うよりこっちのが自然じゃない?」 「うん、いいよ」 真誠さんはちょっと目をそらしてテーブルにグラスと氷とビールを置いてまたキッチンに戻った。 あれ、この場所だめだったのかな。 取り皿と箸とお玉を持ってきた真誠さんはにこやかに 「とりあえずビール飲もう」 と缶ビールを勢いよく開けた。

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