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月曜日の夜(6)(side 凪桜)

「二日間おつかれさまでしたー」 乾杯してビールを飲むと 「まだ6時だよ、なんか明るいうちに飲むって贅沢な気分になるね」 と、真誠さんに同意を求めるように顔を向けた。 真誠さんは頷いて鍋の蓋をあけて様子を見ながら 「ホントだよ、それも家で鍋しながらなんて。外で騒ぐより贅沢な気分」 「僕もあまり飲み会とか外で飲んだりしないから、こういう方が落ち着く」 「お互い出不精だなー」 笑いながらビールを飲み干して僕は梅酒の蓋をあけ二つのグラスに氷をいれる。 「真誠さんは梅酒どうやって飲む?ロック?ハイボール?」 「とりあえずロックかな」 梅酒のロックを二杯作りお互い無言で乾杯して口を付けた。鍋の火を弱くして 「もう食べられるよ、どうぞ」 と箸を渡してくれたから遠慮なく先に『しめじ入りミルフィーユ鍋』を取り分けた。真誠さんのも分けようかと思ったけど、マイルールとかあるかもしれないと思いお先に 「いただきます、美味しそう」 と、熱々を口にした。二口食べてポン酢をかける。 「美味しい!なんかいいね、真誠さんち落ち着くし鍋もお酒も美味しくて幸せだー」 真誠さんは箸で口に運びながらうんうんと笑顔で応えてくれる。誰かと食事するっていいなぁと思いながらぐるっと部屋を何気なく見回した。めちゃくちゃ整頓されてる。 「真誠さんち、きれいだね。うちヤバくってさー、本とかマンガとか紙類とかなんだかわからないもので一杯なんだ」 「え、そんなことないよ、たまたま片付けた後だから」 「うちは片付けてもこんなにキレイにならない」 真誠さんは顔が赤い、もう酔ってるってことないはずだ。昨日もそこそこ飲んでたし。 「真誠さんはお酒飲めるほうだよね」 「うん、割と。顔にも出ないし」 「僕はすぐ赤くなるし最近は飲むと眠くなっちゃうから気をつけてるんだ」 シンプルで飾り気のない、効率よく機能を収めてるホテルのような部屋なのに、なんだかいいんだよなぁこの部屋。落ち着き過ぎないようにしなきゃ、寝てしまわないように。 「大根おろしとニンニク入れてみよう」 「お代わりはソーダで割る?」 ちょっとお腹が落ち着いて来た頃にふと文通してた時のことを思い出した。 「そういえば、ガマくんとカエルくんの便箋で手紙くれたよね~」 「あっ、うん、凪桜さんがカエル好きだと思って」 「すごい、よくわかったよね」 「カエルのお守りをいただいてきたとか書いてあったから」 目を逸らしながらソーダ割りの梅酒を飲んだ真誠さんに 「今度は一緒に行こうよ、すごい山の中だけど。また山の中をドライブになっちゃうからつまんないかな」 僕は真誠さんの顔を覗き込むといたずらっ子みたいな顔で 「いくよ、安全運転してくれるなら」 と笑った。

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