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月曜日の夜(12)(side 凪桜)

「地震、大嫌い」 そう言ってから少し後悔した。今起こってもないのに、そんな風にいうのも大袈裟だった。真誠さんも僕の顔色を見たのか気を使ってくれて「何かあればすぐに来るから」なんて。子どもじゃないんだから何言わせてるんだか。 その空気を変えるように 「もう少し飲む?」 と誘ってくれた。 ごめん、変な気を使わせて、と心の中で言って深呼吸した。自分でも気分を変えたかった。 「鍋片付けていい?」 そう言いながら座る前に蓋をして持ち上げていた。 「そうだね、片付けよ。氷ももってくる」 スッキリした小さなテーブルの上に、僕はリュックからタブレットを取り出した。 「なんか動画見ようよ、真誠さんは何が好き?」 「あーいいね、何がいいかな」 座布団を持ち上げて 「僕はなんでも見るよ、映画もドラマもアニメもスポーツも」 と言うとベッドとテーブルの間、真誠さんの隣に移動した。 「大きい画面だね」 「テレビに繋げるのもいいけど、二人でこうやって見るのもよくない?」 僕はテーブルで見るのにちょうどいい高さに合わせた。 「Wi-Fi繋げてもいいかな」 僕はあれこれ勝手に進めながら聞いた。 「映画は絶対好きなのあるよね」 「うん、いろいろあるけど古いのが好きかな」 真誠さん、映画の話も好きらしい。そして小説書いてるだけあって視点が面白い。次々とタイトルや内容を話してくれる。何も見なくてもこのまま話しててもいい。好きなものを語ってくれるって嬉しいしずっと聞いていられる。それをどこまで共有できてるかわからないけど出来るだけ同じように感じられたらいいのにと思う。 「凪桜さんの好きな映画は?」 「僕もいろいろあるけど、どれかひとつって言ったら『ブルース・ブラザーズ』かな。何があっても楽しく生きていける気持ちになる」 「凪桜さんらしいね」 そんな話をしながら見ていたのは猫が街の中を歩き回る様子を映している動画。なんでこんなに和むんだろう。ただ歩き回ってたまに毛繕いしてあくびして、立ち止まってチラリと視線を合わせてくる猫を見つめてしまう。そしてあの手触りを確認したくなる。 「今日の猫も可愛かったね!」 そう言いながら隣にいる真誠さんの髪に触れた。

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