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月曜日の夜(16)(side 凪桜)

真誠さんは髪が性感帯。 性感帯って口に出したことあったかな。 そんなことを思いながら真誠さんの髪を撫でる手は止まらない。 まさか、真誠さんのこと本当に大きな猫みたいな感じだと思ってるわけじゃないよな、僕は。 なんか気持ちいいんだ、この襟足の感じ。猫もここ触ると気持ちよくなるから擦り寄ってきたり喉を鳴らしたり、あのザラザラした舌で舐めてきたりする。 ああ、だから真誠さんもキスしたくなるとか言ってるのか。やっぱり猫じゃん。 猫の真誠さんは撫でられたまま僕の鼻先まで顔を近づけた。一瞬、間を置いて唇にそっと唇を触れさせた。 僕の頭の中に手紙の内容や初めて会った時のこと、昨日の再会や今日の出来事が映し出された。静かに僕の体の中て熱くなる、掴み取れないもどかしい気持ち。 真誠さんの唇は僕達の形のない感情の高ぶりを静かに伝えてきた。 猫でも気に入らない人には撫でさせないし、もちろん舐めたりしない。 真誠さんは僕のことすごく気に入ってくれてるんだ。 僕は一瞬触れた唇の感覚をまだ近くにある真誠さんのキリリとした眉を見ながら反芻して唇を舐めた。カッコイイ眉毛だな、唇ももっと見てみたい。あまり見ないようにしてたけど瞳だってもっと見たい。 ベッドに乗っていない方の手で真誠さんの顎をそっと持ち上げる。 「目を合わせるの苦手だよね、ごめん、でも見てもいい?」 「え、あ、見るって…… 」 「もう見ちゃった!黒くてくるくるしてるね、キレイ」 まるで猫の瞳を評価するような拙い言葉に真誠さんは視線を外して 「恥ずかしいから」 と、僕の手から顎を外そうとした。 「男の人とキスしたのは初めてなんだけど」 外そうとした顔をつかみ直して今度は僕の方から唇をそっと近づけた。 「僕は真誠さんのこと、ずっと触っていたいと思ってる」 また猫に告白するようなことを言いながら、真誠さんの表情は見えないまま唇を重ねた。

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