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相知る温度(2)(side 凪桜)
真誠さんから唇を合わせてきたから、僕も返した。
それだけだったはずなのに真誠さんは僕を離さなかった。正確に言えば、僕が誘ったのかもしれない。自然に舌が触れ合った。違う、僕が舌を出した。
真誠さんの舌が僕の舌の全てを探るようになぞるからそれに誘われるように絡め返して、溢れる唾液を舐め取りながらこの粘膜の感覚に気持ちが同調していくことを許した。気持ちいい。
意識が気持ちの方に傾いた時に真誠さんのやわやわと動く舌先が不意うちで敏感なところを刺激した。スイッチが入ったのか僕の体は真誠さんを押し倒し、さらに唇や舌や髪や顔の柔らかさを感じ取るためにだけに、動いた。
「な……ぎさ、さん」
「……」
「ベッドに……」
「あ、ごめん。痛かったよね」
真誠さんの首の後ろに手を差し込み体を起こすとベッドとテーブルの間の狭い空間で向かい合わせになった。真誠さんの手を取り瞳を覗いたまま
「続きをしてもいいってこと?」
と、ちょっと意地悪な気持ちになって聞いてみる。真誠さんのアソコも僕のも気持ちいいって隠せていない。
「凪桜さんがよければ」
真誠さんは握った手に視線を落としてからベッドに目を向けた。その目の動きに手足の芯からゾクゾクして僕は手をにぎったまま立ち上がり、真誠さんを引き上げてベッドに座った。
俯いて赤くなってる耳とか伏せたまつ毛とかなんだよ、もう。
どうしていいのか分からないけど触ってみたい。もっと深いところまで。
真誠さんから目を離さないまま、ゆっくり一緒にベッドに横になる。シングルベッドってこんなに狭いのか。顔が目の前にある。
横向きで向かい合わせになって視線を合わせた。無防備な真誠さんの顔に指の外側を添わせ頬のラインを撫でる。あ、また猫みたいに触ったかも。そのまま首筋に手を撫で下ろしてうなじへと手を伸ばす。
僕の左手は思ったより器用に襟足から手を差し入れ真誠さんの髪を梳く。何度も何度も繰り返しながらまた唇を近づけたら真誠さんの手が僕の耳をかすめ髪に手を差し入れて顔を引き寄せた。
僕の頭の中はいつの間にか唇や舌や内側の粘膜がクチュクチュする音でいっぱいになった。髪を触られるって気持ちいいんだ、僕も性感帯かも。真誠さんの顔が離れ耳からざらついた音と温かい舌の動きを感じて、耳を唇で挟んだり舐めたりしてるんだと気がつく。寂しくなった唇に真誠さんの指が触れ口の中に指が入ってくる。反射的に舌をからめると指がとろけるんじゃないかと思うほど舌と一緒に動いてる。
僕は真誠さんの昂ったところに手を伸ばした。
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