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相知る温度(8)(side 凪桜)

眠っていたみたいで気がつくと真誠さんの顔が横にあった。今までの目とは違う優しく包み込むような寂しいような複雑な顔。 「先にシャワー使って」 「真誠さん、一緒に入る?」 初々しいカップルみたいな会話だと思ったけど拒否された。またしたくなるからって。明日になったらなかったことにしたいの? それとももっと深く関係したいの? 真誠さんの考えがわからない。さっき一緒に上げた熱はなんだったのかと僕は投げやりな気持ちになる。 「朝からするのって気持ちよくない? 休みの日に寝起きのぼんやりした頭でするの。だるくなって二度寝して、またしたくなったらする」 「ケモノの生活じゃん」 心にもないことを言った。朝から好きな人と何度でも抱き合って舐めあって深いところまで探り合う、そんな気持ちのいいこと、他にはないと思ってる。 真誠さんがわからない。どう言う言葉や態度をしたら僕のこの想いを伝えられるのか考えていたら悲しくなってぼんやりしてしまったけど真誠さんが頬にキスをしてきて我に返った。 「シャワー、浴びてきて」 立ち上がって口に出したのは、今の気持ちには何も関係ないこと。 「明日、何時の新幹線で帰ろうかなぁ」 シャワーはさっきの快感を思い出させた。真誠さんの顔、忘れられないよ。僕とどうなりたいの。いい大人は聞き分け良く一夜のお遊びにしなさいってこと? もしかして男同士だから? 熱いお湯を浴びるうちに自分らしくないなとひとりで笑う。こんなこと考えてても仕方ない。 タオルを腰に巻いて真誠さんが座っているベッドの横に並んだ。 「真誠さんの気持ちがわからないから僕から言う。さっきのめちゃくちゃ気持ちよかったし、もっとしたいと思ってる。真誠さんのことも気持ちよくしてあげたいって純粋に思ったから、してあげるって言った。したことないけどしてあげたいって思ったんだよ。どういうことかわかる?」 最後はちょっと感情的になって視線をそらしてまた言った。 「さっき、ケモノみたいだって言ったのは本心じゃない。僕だってそういう人間だから。真誠さんの思ってることが分からなくて意地悪く口に出ただけ。でも本当にあれは一時のお遊びだと言うなら、なかったことにしてこれからも仕事の付き合いをし」 「待って!」 一気に言いたかった言葉を遮られた。真誠さんは何も言わないまま沈黙が続いた。 「言いたいことあるなら嘘つかないで、言葉にして。僕は心を読むことは出来ない」 我慢できなくて言ってしまったけど真誠さんは言葉にするのが苦手だったことを思い出して、じゃあ書いてもらえばいいと考えた。 僕は優しくも冷たくもない言い方で言う。 「原稿用紙に書いて」

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