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凪の住処(11)(side 真誠)*

「待って、もうちょっと我慢したい。凪桜さんともっと楽しみたい」  肩をそっと押し留めると、凪咲さんは顔を上げた。 「どうして欲しい? 舐めようか? それとも他に気持ちいいところあるなら教えて」 俺は一瞬の間に逡巡し、それから思い切って訊いてみた。 「あの、さ。その……。俺に挿れてみる?」 「えっ」 凪咲さんの瞳は左右に揺れて、目を白黒させるってこのことなんだな、と思った。 「男性同士の場合、後ろは使わないカップルも多い。俺はどっちでもいい。それと挿れる側も、挿れられる側も、俺はどっちもできる。だから、本当に凪咲さんの好みでいいんだけど。……女性との経験があるなら、挿れたい気分になるかなって」 一気に喋って、凪咲さんのシンボルに手を触れた。撫でると硬さを増して、凪咲さんは目を眇める。 「真誠さん、男としたことあるの?」 「うん、あるよ。むしろ経験のほとんどは男性と」 「そうなんだね」 凪咲さんは僕の髪を手櫛で撫でた。 「凪桜さん。試して……みる?」 「うん、真誠さんさえよければ」 俺は頷き、凪咲さんをベッドに仰向けに寝かせて、ベッドの下まで持ってきていたコンビニ袋を引き上げた。  身につけていた衣類を全て脱いで、凪桜さんの腰を跨ぐ。ローションを手に受けて自分の後孔へ塗りつけながら、凪咲さんの唇へ自分の唇を押しつけた。唇を交互に食み、舌を這わせ、口の中へ舌を忍ばせていく。  凪咲さんはキスに応えてくれて、口の中がだんだん気持ちよくなってくる。嫌がられてはいないかも? という安堵で緊張がほぐれ、少しずつ蕾は綻び始めた。  キスをしながら自分の後孔を指の腹で丹念に解し、まずは中指の先を埋める。 「んっ!」  俺の声に驚いた凪咲さんが口を離した。 「大丈夫?」 「大丈夫。ちょっと久しぶりだから……。それより気持ちや身体が冷めるのが嫌だ。キスして、凪咲さん」  凪咲さんは俺の頬を両手で包むと、ゆっくりキスの相手をしてくれた。そのキスは優しく、絡む舌は柔らかくて、俺はその気持ちよさに身を任せ、固かった蕾はみるみるうちに解れて、中指だけでなく人差し指も、さらには薬指まで入るようになった。  俺は自分の指で後孔をかき混ぜながら、唇で凪桜さんの肌を辿っていく。胸の粒をしつこく舐めて凪桜さんを喘がせた。  下腹部から布を取り去ると、凪桜さんの雄蕊は硬く上向いて、先端からトロトロと透明な蜜を零している。  俺はその先端に口づけて、鈴口に舌を突き立て抉ってから、口に含んで笠の縁をくるくると舐め。 「ん、ああ……」 喘ぐ凪桜さんの声とひくひくする腰の動きを舌と唇で感じ取って、俺は自分の芯を硬くした。  凪桜さんの硬さを薄膜で覆い、ローションをまぶして、改めてその腰を跨いで膝をつく。  後ろ手に凪桜さんの雄蕊を掴んで、その切っ先を綻んだ蕾にあてた。 「無理しないで」  凪桜さんの言葉に頷きながら、ゆっくりと息を吐きつつ腰を沈めていく。蕾は押し開かれ、俺はひたすら呼吸を意識して先端を飲み込み、ゆっくり腰を落とす。 「あ……あああ、……ああ……」 擦り上げられる快感に震えながら顎を上げ、その間も凪桜さんの気持ちが冷めないように、胸の尖りを指先でなぶり続けた。  一部始終を凪桜さんに見られながら、ゆっくりと根元まで含んで、俺は息をつく。 「凪咲さん、痛くない?」 「痛くない。真誠さんの中が熱くてやばい」 「俺も気持ちよくてヤバい。動いていい?」 凪咲さんは頷くと、俺の腰を支えてくれた。俺はゆっくりと数回上下させてから、ぴったりと根元まで密着させた。こつん、と先端と粘膜がぶつかる場所があって気持ちがいい。  凪桜さんも気持ちいいみたいで、再現実験のようにこつん、こつんと突き上げてくる。 「あっ、あっ!」 「ぶつかるところ、気持ちいいね。ずっとこうしていたいくらい」 内壁を直接刺激されている俺は、ノックされるたびに身体の中に熱泉が噴き上がるような快楽を味わっていた。早くも蕩けそうだ。 「あ……ダメ。凪桜さん、俺、変になる……っ!」 コツコツと突き上げられたまま腰を振れば、今度はクルミ大の器官が圧迫される。鼻に抜けるような甘い刺激に泣きそうな気持ちよさを感じて擦りつけ、刺激を求めて疼く自分の芯もしっかり握った。  明かりを消し忘れた部屋の中で、凪桜さんの腰の上で大きく膝を開いて、欲望のままにガクガクと腰を振り、さらにはゴシゴシとペニスまで扱いて見せるなんて、恥ずかしい。  でも、この快楽の坩堝からは抜け出せない。男が感じうる最大限の快楽に夢中になって己を扱き、腰を振った。 「凪咲さんっ。も、いきそ……」 「待って、僕もいきたい」 凪咲さんは起き上がると、俺を仰向けにして足を開かせ覆いかぶさる。改めて雄蕊を突き立てると、力強く打ち込んできた。 「あっ! あああああああっ!」 最奥にガツガツとぶつかって、クルミ大の敏感な場所も擦り上げられて、あまりの快感に目の前がチカチカした。  奥深くで繰り返される律動は次第に早くなって、俺の身体には快感が表面張力いっぱいにまで蓄積されていく。爪先までピリピリと痺れた。 「あ、もう……っ」 「僕も……っ」 再び凪桜さんの楔が打ち込まれたとき、俺は限界突破して弾けた。全身を巡る血液が瞬間沸騰し、皮膚の表面を火で炙られるような快感だった。 「あああああああっ!」  俺は自分の腹に向かって白濁を散らしながら、最奥で射精する凪桜さんを受け止める。  凪桜さんは奥歯を食いしばって苦悶の表情を浮かべていたが、射精が始まると抗えない快感にびくん、びくん、と身体を震わせて天を仰ぎ、恍惚とした表情を見せた。天啓を受けている人のように美しかった。 

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