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凪の住処(12)(side 凪桜)*
「男としたことあるの?」
前にも聞いたことがあるけどそれについては僕の独り言として喋り続けた。それも疑問があったというよりなんとなく口に出ただけで。
真誠さん入れる側も入れられる側もどっちでも出来るって、そういうのもありなのか。自分がその行為をするなんて考えてもみなかった。突然と言えば突然だけどもうその一歩手前まで昨日済ませてるし。真誠さん、きっと言いにくかったんだろうな、あんな風に聞いてしまってごめん。今はきっと頑張って言葉にしてくれてるんだよな。
一瞬戸惑ったけど真誠さんの手が僕の昂りを撫でるとますます硬くなりやる気を見せた。僕は真誠さんが愛おしい、この気持ちはどう伝えるものなのかなと髪を撫でて黒い瞳を見つめた。
「凪桜さん、試して……みる?」
と言われ迷いなく返事をする。
「うん、真誠さんさえよければ」
ベッドに寝かされて真誠さんが準備を始めた。ローションを手にして今から入れる孔に塗っているようだと思ったら、唇を寄せ舌を差し込み僕の舌と気持ちをまたどこか持っていこうとする。へんな意地みたいだけど、僕が真誠さんを気持ちよくしてやるんだと頭と背中に手を回し僕の中に閉じ込める。
「んっ!」
「大丈夫?」
やっぱり痛かったりするのか。経験があってもそういうものなのか。
真誠さんはちょっと久しぶりだからと言っている。僕だけ気持ちよくなるとか嫌だし無理させたくないと考えていたら、気持ちを高めるキスをねだってきた。
僕は真誠さんの頬を両手で受け止め言葉にならない愛しさを込めてキスを繰り返す。
それから体中舐められてまた痺れるような熱を我慢していると気がつけば真誠さんの口の中に僕の芯は含まれている。腰が疼く。声が漏れる。
硬く立ち上がったものは、僕を跨いで膝立ちの真誠さんの後孔に触れていた。ああ、もうその真誠さんの姿だけで我慢できない。苦しそうに頬を赤らめ俯く、その口元は切なそうに半開きでまるで僕がいじめているみたいじゃないか。なのに僕はその姿にさらに硬くなる。
声を漏らしながら真誠さんは僕を飲み込んでいく。ただ見つめるしかできない申し訳なさとその姿を全部見ていられる興奮がたまらなくて息を止めた。
「凪桜さん、痛くない?」
痛いのは真誠さんだろ。そう言いかけたけどそれよりも
「痛くない。真誠さんの中が熱くてやばい」
なるべく平静を装って慌てて達してしまわないよう力を込めた。
「俺もきもちよくてヤバい。動いていい?」
既に狭いところに押し入り締め付けられているのにここから動かれて大丈夫なのかと思いながら身を任せる。真誠さんが腰を上下すると先端が当たり、そこが癖になるような気持ちよさで思わず何度も突き上げる。僕の上でさらに腰を振っている真誠さんはケモノのように乱れてキレイだ。自分で握って擦ってさらに乱れる姿を見て僕の本能が立ち上がった。
「待って、僕もいきたい」
起き上がって真誠さんを寝かせ、両足を抱えて開き間に入るとその中に侵入した。真誠さんの腹筋も脇腹も太ももの内側も白くいやらしく僕を挑発する。
もう我慢できない。突き立てた先には達したいという本能しかない。
真誠さん真誠さん真誠さん……。
酸素が足りなくなるほど息を詰めたまま腰を動かしたその先へ、一緒に到達したい。
「あああああああっ!」
真誠さんの声に僕も同時に弾け、熱くて狭くて固くて柔らかくて締め付ける奥へ精を放った。
体の震えが治まると真誠さんの上へ倒れ込み荒ぶる息を整える前にキスをした。
「僕は今、世界中で一番興奮して気持ちよくなってる気がする」
「それは俺だよ、きっと」
はぁーと大きく息を吐き顔を見合わせて笑うと抱き合って何度も顔中に唇をあてた。
「真誠さんの中、良すぎて忘れられない」
「忘れなくていいよ」
「うん……もう少しこうしててもいいかな」
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