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凪の住処(14)(side 凪桜)

一瞬気を失ったように眠ったようだが気がつくと外はまだ暗い。隣にいる真誠さんはすぅすぅと寝息をたてて閉じたまつ毛は密度が濃くて瞼がきれいに縁取られている。整ったまつ毛に触れそうになった手を止めてしばらく見つめ、ゆっくり起き上がりついたままの電気を消した。 目を閉じても眠気がやってこない。いつもならすぐ眠ることが出来るのに。でも、その理由はわかってる。 あんなに興奮した経験が無かったからいまもまだ体の芯が熱いままで落ち着かないのだ。落ち着かないからだを持て余して息を潜める。マットは硬いけれど無造作に動けば真誠さんは目を覚ましてしまうかもしれない、そう思うとまた眠れない。 もういっそ起きていればいいのだと諦め、あらためて真誠さんに目を向け、やはりまた撫でたくなる衝動を抑え枕の上で顔の位置を合わせた。 二人で乱れたことを頭の中でつい再現してしまい自分のいやらしさにため息をついた。思春期の欲求不満な高校生みたいだ。でもそれも間違ってはいないかもしれない。初めて知った真誠さんとその肢体、その快感。愛おしいという言葉を使いたくなる感覚。どれも初めてだから、その辺の高校生と大して変わらない。 本格的に寝るのを諦めた頃、窓の外が少し明るくなってきていた。そろりとベッドの上で180度向きを変えて襖をあけ、隣の部屋のテレビをつけて早朝の情報番組を眺めた。目で見ているだけ、耳で聞こえているだけだ。ぼんやりと今日は何かしなくてはならないことがあるか考える。 仕事を少し、ラフを送るだけだから真誠さんが仕事をする時にしよう。あとは買い物。猫砂と餌、食料かな。 考えていると真誠さんが起きたようで体の向きを変えて隣に顔を出し頬にキスをしてきたから僕も同じように返した。真誠さんはよく眠れたようだ。唇をあわせ、外に出ていくチャビを見送る。馴染んでる、もう既にいつもの事のように全てが馴染んでいる気がする。 「凪桜さんの体温、気持ちいい」 そう言って真誠さんが抱きついてきた。馴染んでいる気になっていたけど、これはまたちょっと……気持ちいいことを想像してしまうよ。しっとりした肌、気持ちいい。どうしよう。このままではまたずっとベッドの上だ。 とりあえずシャワーに誘おう。買い物に誘おう。 「真誠さん、シャワーして買い物に行かない?それから仕事するのはどうかな?」 「買い物?」 「チャビのトイレの砂とか食料とか。車で行けばすぐだよ」 「わかった、シャワーしたい!もちろん、買い物も」 ゴソゴソと裸のまま布団を抜け出してパジャマを探して拾ってお風呂に向かった。男二人で裸でウロウロするって、ちょっと間抜けな気がする!

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