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潮騒のファミリー(10)(side 凪桜)
デザートを一通り終えるとそれぞれが声を掛けてきた。
「ねぇ、凪桜ちゃんのお仕事はなに?」
「絵を描いてるよ。絵本とか真誠さんの本の表紙とか」
モジモジと恥ずかしそうに聞いてきたちびーずにそう答えると「お絵かきする!」と、書くものを探しに行った。
「凪桜さんはお兄のどこがいいの?」
「どこって、部分で好きなわけじゃないからわからないなぁ」
「引っ越して行ったら邪魔だと思うんですけど~何もできないし、大丈夫ですか~?」
「部屋は空いてるから大丈夫。家事をしてくれる人が欲しい訳じゃないし、僕もできないことがたくさんあるから一緒にやるか、出来る方がやればいいと思ってる」
素直に答えていたら
「おい、お前ら変なこと聞くんじゃないぞ」
と真誠さんが牽制した。
僕は小さく「大丈夫だよ」と言って真誠さんの頭にポンと手を置くとニコさんが何か呟いた。
僕には聞き取れない呪文のようだ。さっきから何回か呪文のような言葉を聞いているけれど、後で真誠さんに聞いてみよう。
「マコとは仕事で知り合ったのよねー、この子愛想なしだからどうやって仲良くなったのか気になるわー」
質問は止まらないらしい。お母さんも喋り出してちびーずもお絵描きを同じテーブルでやりたいと割り込んで来ていてまた大騒ぎだ。
なんとなく落書きに付き合いながら質問に答える。
「真誠さんと愛知県にある明治村に取材へ行ったんです。それで仲良くなって」
「あらあらあら~マコやるじゃない、こんなキレイな人つかまえてー!!」
さっきから僕のことを皆さん王子とかキレイとか大袈裟だ。ずっとこの調子なのかと思うと、やっと真誠さんが大変な思いをさせるって言ったのがわかった気がする。
ものすごいパワフルな家族。
「おかあ! 凪桜さんが困ってるだろ」
「ご兄弟はいるんですか~?」
「弟が二人いますよ」
「わーーー凪桜さんに似てますぅ?」
「どうかなぁ? 3人ともお互いは似てないって言ってるけど」
「おい!! 俺だって会ったことないんだからな、余計な詮索はやめろ」
なんとなく、ここにいる限りはこれが続くのだと諦めて、ちびーずとお絵描きを始めた。
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