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潮騒のファミリー(16)(side 凪桜)
真誠さんはお風呂に入れてくれ僕が落ち着くよう根気よく付き合ってくれた。
「家族って不思議だ。いつもはうるさい、うっとうしいと思うのに、離れると思うと少し寂しい」
そうだった。家族の元を離れるのは僕じゃなくて真誠さんの方だ。僕は無責任に
「年に何回でも、帰ってくればいいよ。二時間ちょっとの距離なんだから」
と言った。本当はそんなに簡単に割り切れないことはわかるけど、このまま寂しい気持ちに同意するなんてできない。不安を吐き出して真誠さんを困らせてるけど、僕だって真誠さんと一緒にいたいと決めたんだ。
「そうだね。……あ、いつか具合悪くなりたいな。『もう東京の水も空気も合わない。俺はすっかり凪桜さんちの子になった』って」
「なにそれ、変なの」
自分のずるさに自分で笑った。ごめんね、真誠さん。僕は寂しがり屋でずるいけど、それでもいいのかな。
「やっぱり凪桜さんと暮らすのは楽しみだ。俺のこと、あなたのテリトリーへ連れてって」
「うん、来て」
背中から腰に手を回し抱きついてきた手をぎゅっと掴んだ。なんでこんなに寂しいのかな。真誠さんの頭に手を伸ばし撫でた時にチャビの毛並みを思い出して、ふっと笑った。
「なに、なんかおかしい?」
真誠さんが顔をあげて覗き込んでちょっと口を尖らせた。僕は体の向きを変えて向かい合い真誠さんと唇を合わせる。
「チャビを思い出したんだ。そしたらなんか元気になった」
「え?チャビ様?なんで……あ、髪???」
髪に手をやり視線を斜め上に向けて不思議そうな顔をしてから僕を見て今度は真誠さんからキスをしてくれた。
「真誠さん、僕は真誠さんが家族と離れるのが寂しくても僕のとこに来ればいいって思ってる。でも、どうしても寂しかったら僕がこっちに来るから。だからさっき言った愚痴みたいなことは忘れて」
両手を握り真誠さんの黒くてくるくるした目を見つめた。真誠さんは笑って
「そんなこと気にしてない、大丈夫だよ。うちの家族は遠くにいても騒がしいから」
「そうか、そうだね……どんなに離れてもあのパワーを送ってきそうだ!」
そっと近づき見つめ合って舌を絡め、お互いの口の中をさぐり顔の角度を変えながら相手の全てを求め尽くした。終わり無く続く粘膜と唾液の擦れる音と吐息。ふっと離れておでこを付けたまま笑い合った。
「ねぇ、早く荷物まとめないと寝る時間なくなるよね」
「俺は早くチャビ様と凪桜さんを会わせないと寂しくて死んじゃうって思ってる」
「死なないけど……」
「でも、早く帰ろうよ。凪桜さんの家に」
「僕達の家に、ね」
言ってからちょっと照れたけど、僕と真誠さんとチャビの家。新しい家族。
「でもさ、先にこれをおとなしくさせたい」
と、真誠さんが元気に上を向く下腹部を指さした。僕は同じような自分自身を見て
「ねえ、前みたいに一緒に掴むのしよう」
と少し恥ずかしかったけど言ってみた。気持ち良かったことしか覚えていないけれど。
真誠さんは僕の手を取って固くなった二つの芯を掴んだ。自然に重なった唇を合図に合わせた手の中で昂った二つの物は上下に扱かれる。
段々早くなる動きに体が熱くなり痺れるような快感が湧き上がってきた。
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