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潮騒のファミリー(18)(side 凪桜)
「真誠さんは声が出るタイプなんだね」
僕はシャワーの中で抱きしめた真誠さんの耳元で呟いた。真誠さんは真っ赤になって顔を胸に押し付け
「違うんだよ」
なんて言うから少しいじめたくなって
「何が違うの? 言ってくれなきゃわからないから」
と抑揚のない声で返し体を押し離した。
さっきまでの不安はどこに行ったんだろう。僕は真誠さんのもので真誠さんは僕のものだからもう離れることはない。だからこんな風に意地悪をすることに躊躇しない。
「凪桜さんだから……反応するし……声も出る。こんなの初めてだから……」
と、恥ずかしそうに僕の肩に顎をのせそっと手を腰に回した。そういう真誠さんの反応が嬉しいなんて、僕は小学生並だと思う。
「うん、本当はわかってる。真誠さんが僕のこと大好きだって知ってる。いじめられるの好きって言ったからいじめてみた」
恥ずかしそうに固まった表情にちょっと笑って僕も同じように腰に手を回して軽く唇触れ合わせ
「真誠さんがイクのすごく気持ちよさそうで僕も興奮したから、ちょっと声でた」
そういって腰のあたりをくすぐった。
こんなおふざけだって出来る僕も真誠さんのこと大好きなんだ。言わなくても通じるなんて思ってる僕はやっぱりずるい。
「あと、何かやることある?」
「持っていくものそんなにないから大丈夫」
「この来客用ふとん、新しかったんだね。持っていく?」
前に来た時に敷いてくれた布団セットを指さした。
「凪桜さんのベットに一緒に寝てもいいんだよね?」
確認する様子がおかしくて、ちょっと考えるふりをしてみる。何も言わず視線を泳がせる僕の動向に不安げになってる様子がおかしくなって頬を緩ませると真誠さんは
「またいじめられた!」
と、口をとがらせながらダンボールにガムテープを貼った。
「真誠さんは本当にかわいい」
そう言いながらガムテープを指さし受け取ってダンボールの蓋を閉じた。
ダンボールを積み上げてから
「布団は持っていかなくても大丈夫だよ、寝袋あるし!」
「え? まだいじめるの?」
もう、真誠さんは膨れないで笑ってる。だってベッドに入れてあげないわけないからね。そんなこと知ってるって顔してる。
「明日は早く出よう、後はニコに任せよう」
「なんで? いるものとか要らないものとか相談しないの? 荷物は取りに来てもらわないの?」
「早くチャビ様に会いたいから」
そんな理由でと思ったけど確かにチャビのことは気になる。ご飯足りてるかな。まぁ大丈夫だと思うけど。
「もし本当にお腹すいたらチャビは海側の猫好きな家に何かもらいに行くと思うよ。今も時々お邪魔してるらしいから」
そう言ってチャビのことは心配ないアピールをしたのに
「違うよ、凪桜さんがチャビに会わないと元気なくなるからだよ」
と言って、僕の手を取り自分の頭に擦り付けた。
「凪桜さんはチャビ様がいると安心するよね」
猫を撫でる代わりに自分の髪を触らせる真誠さんが面白くて僕は笑いながら髪をなでた、真誠さんがまるで猫かのように。
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