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今年も猫年(24)(side 真誠)*

 境い目がわからなくなるほどに深く繋がって、その心地よさを味わいつつ、凪桜さんの胸の粒を触りつつ、その手に凪桜さんの手が重なっていることも感じつつ目を閉じていた。  このまま溶け合ってしまえたらいいのに。  なんてロマンチックなことを考えていたら、不意に凪桜さんが腰を動かした。 「うわっ! 凪桜さん、急に動くとイッちゃうから」 びっくりしたぁ。慌てて凪桜さんを抱き締めて耐え、凪桜さんも小さく震えてゆっくり息を吐いて耐えている。 「動きたくなっちゃったの?」 話し掛けながらうなじにキスをして、そっと胸の粒をつまんでゆらすと、凪桜さんの内壁がきゅうっと絡みついてくる。 「ん、真誠さん……」 「切ない声」  改めて凪桜さんの腰をぎゅっと抱いて、自分の身体へ押しつけさせ、さざ波のように少しずつ身体を揺すった。 「んっ、んっ……」  こたつの熱と同じくらいゆっくりと行き渡る快楽に、凪桜さんの中も少しずつ柔らかく熱くなった。 「気持ちいいね」 凪桜さんは素直に声を上げ、顎を上げて目を閉じていて、俺も目を閉じ、二人のつなぎ目から湧き上がる温かな快感を楽しんだ。  互いの身体へ寄せて返す快楽の波は、次第に大きくなっていって、部屋の中には堪えきれない声と早い息遣いが広がっていた。 「ああ、凪桜さん……っ」  身体の中の熱が外へ向かいたいと暴れ始める。  座ったままゆるゆると動くだけでは物足りなくなって、俺は凪桜さんを立ちあがらせ、両手をこたつの天板にしっかりつかせて、改めて後ろから侵入した。 「はあああっ」  凪桜さんが声を上げ跳ね上がる腰をそっと抱く。根元まで納めて馴染ませてから、抜け落ちるぎりぎりまで引き抜くと、凪桜さんは 「いなくならないで!」 と言ってくれた。嬉しい。でも少し焦らしたくて、先端だけを出入りさせた。  凪桜さんは俺を追って腰を突き出すけど、つながっている距離は僅かだから、俺が手を伸ばして小さな胸の粒をきゅっとつまんであげるだけで凪桜さんの腰は震るえ、俺は抜けてしまった。 「ああ、抜けちゃった。暴れちゃダメだよ、凪桜さん」  ぺちんぺちんとお尻を叩いて、あとで怒られるだろうなぁと思いつつ、俺は少し赤くなった尻の間へ再び己を挿し込んだ。 「もっと奥まで。奥まで来て」 凪桜さんの腰は揺れて、俺は言われたとおり根元まで納めてから、ストローク一杯に抜き差しを始めた。  肉のぶつかる音が響く。心地良い二人の身体の間に自分のシャツの裾が滑り落ちるのが不快で捲り上げ、存分に音を立てながら交接した。  凪桜さんのなかは熱くて狭くて、押し込むときにぐりっとクルミ大の器官を撫で上げ、最奥へぶつかる。  凪桜さんの声はもう止まらなくなっていて、俺も煽られて夢中になって腰を振った。  しかももっといやらしいことがしたい気分になり、俺は凪桜さんの膝を抱え上げ、大きく足を開かせてみた。  凪桜さんの男らしさを示す部分が露わになって揺れる。片足だけで不安定になった凪桜さんはバランスを取ろうとこたつに縋り付くように上体を伏せた。  凪桜さんの身体がねじれ、俺はそのねじれに絞り上げられて、全身が火だるまになるような快感を得る。  凪桜さんも内壁の膨らみをずっと押されっぱなしになって、顔を美しく歪めながら「いく、いく……」とうわごとのように言い始めた。 「俺も。一緒にいこう、凪桜さん」 俺は本能に任せて力の限りに腰を振り、凪桜さんの一際高い声に飲み込まれるようにして、一緒にはじけた。花火が打ち上がるような衝撃と快楽だった。 「うああああっ!」  床に崩れて、俺がティッシュペーパーとぬれタオルで甲斐甲斐しくお片付けをしていたら、大きく息を吐き、冷静さを取り戻した凪桜さんが俺を振り返って睨んだ。 「真誠さん、僕のお尻を叩くの楽しそうだったね。僕は楽器じゃないんだけど」 ああ、やっぱり! 「すみません、気分がオラオラしまして、ちょっと調子に乗りましたっ」 下半身をむき出しにしたまま正座して、揃えた指を畳についた。 「そうされたいなら、僕のお尻を叩かなくたって、そのお尻を僕に向けるだけでいい」 「はい」  冷たい声が耳から身体へ流れこむたびに俺の身体はぞくぞくして、さっそく向きを変えて凪桜さんにお尻を突き出した。 「え、今?」 凪桜さんは小さく呟いて絶句していたけど、 「お願いします、御主人様」 と俺が哀願するような声を出したので、凪桜さんは笑いを堪え、俺の腰に左手を当て、右手のひらでぱちーんっと俺の尻を叩いた。唐辛子を食べたような強い刺激と、後を引くヒリヒリした刺激に、俺は思わずのけぞり、冗談のつもりだったのに、あろうことかちょっとこぼした! そんなに? そんなに感じたの、俺? 一瞬身体を駆け抜けたびりびりする感覚に呆然とした。  辛いもの好きな人は、どんどんエスカレートしていくと聞く。俺もこんな調子でエスカレートしていったらどうしよう?!

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