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チャビは喜び庭駆け回り、凪桜はコタツで丸くなる(12)(side 真誠)*
「どうしたいか、ちゃんと言って」
キスしたくて突き出した唇を避けられ、冷たい声と共に見下される。
俺は一瞬萎縮するのだけれど、その萎縮がほぐれるときに快感を覚える。
この間お尻を叩いてもらったとき、その瞬間は痛いのに、回復していく過程の痺れが快感を伴ったのと同じような感じだ。
しかも叱られるというのは、俺が凪桜さんに認知されているということで、うぉぉぉぉぉぉぉぉ、俺の承認欲求満たされたァァァ!!! という喜びも見え隠れしている。
このまま「あーん、凪桜さん素敵! クール! 冷たい! 風呂の湯も凍る! もっともっと叱って、意地悪も言ってぇ!」って、凪桜さんの胸に抱き着きたいし、突き飛ばされたい。何なら風呂に沈められてもいい。窒息プレイにも興味が湧いてきた。
けど、そんなことを言ったら、東京に送り返されること間違いなしだ。ダンボールに詰めて黒猫か飛脚かペリカンか。股間には『ハレモノ』って貼っておいて!
性的快感は強いほうがいいが、凪桜さんと二人でするときは凪桜さんと一緒に楽しみたい。尻を叩かれたり、勃起したチン⚫を指ではじかれて
凪桜「真誠さん。どうしてこんなになってるの?」
真誠「あの、その……(ますますギンギン)」
凪桜「いやらしい奴。何、これ?(人差し指で先端から溢れる透明な蜜に触れ糸を引く)」
真誠「あっ/////(とろとろとろ)」
凪桜「このケダモノっ!(ぺちーん)」
真誠「ごめんなさーい!(ピュッ)」
凪桜「最っ低」
真誠「はうっ(ビクンビクン)」
っていう妄想は一人用のおかずにとっておくことにして、俺はゆっくり深呼吸し、凪桜さんの目を見た。
「今日は下になりたい」
凪桜さんは微かに口角を動かすと、俺の手を掴んで立ち上がった。
腰にタオルを巻くだけで、冷えるより先にベッドへ駆け込む。
仰向けに寝た俺の身体の上に、凪桜さんは四つん這いで覆いかぶさる。顔の周りを濡れた髪の毛が覆って、ライオンのような目で俺を射抜いた。
「僕に食べられたいんだっけ?」
俺はこくこくと頷いた。
「僕に食べさせたいくらいだから、ちゃんと美味しいんだよね?」
一瞬返答に詰まったが、ハッタリも込めて頷いた。
「よく洗って茹でてあります」
俺のおとぎ話な返答に、凪桜さんは顔を背けて笑ってから、仰向けにベッドに寝た。
「じゃ、食べさせてもらおう」
入れ替わりに俺が凪桜さんの身体の上に重なって、まずは唇を差し出した。
ふわり、ふわりと触れさせ、気持ちが高まるままに押しつけ、ねじりつけて、凪桜さんの唇に舌を這わせる。
凪桜さんの両手が背中に回り、ゆっくり撫でまわされるうちに俺の気持ちは穏やかになった。ゆっくりと舌をねじ込み、その舌を柔らかく食まれて、俺の身体にはオンザロックの氷のようにゆらゆらした快感が染みた。
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