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第31話

「秤。どうした?改まって」 「イザヤがこちらに来ていますが会いますか?」 「へぇ。うん、会おう。」 ルンルンと鼻唄まで聞こえてきそうな感じで望さまは跳ねる 「ふふっ…子供みたいですね」 「そうか?ワクワクするじゃないか。初対面というのは」 「しかし…ふふっ…」 「ん?」 小首を傾げた望さまはいつもより幼く見えて… ドクリとこれまで望さまに対して跳ねたことのない心臓が音を立てた… 「秤?」 「…いえ…何でもありません」 「そうか?」 あぁ…私はまた…愛してはならない人を… 「では参りましょうか」 イザヤが待つ私が人界で生活している屋敷へ向かう。 「望さま。私の屋敷まではお時間がかかります。少し休まれてはいかがですか?」 「うん。そうする。すまない…」 そう言うと直ぐに安心しきった表情で寝息をたてる望さま。 その顔はやはりあどけなく可愛らしくて… 「…もう…本当に…私は…」 ふぅ…と息をはいた…

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