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第32話

「望さま。到着しましたよ」 伝えるとむにゃむにゃと何か言いながら目を擦っている。まだ夢の中らしい 仕方なく後部座席へ回りドアを開け軽く体を揺する 「望さま…」 「んん…ん…ついたぁ?」 「えぇ。」 「ん…ごめんなぁ…俺寝すぎたぁ…」 「いえ。近頃はなかなか眠れていなかったでしょ。少しでも眠ることが出来て良かったです」 「うん。ありがとう」 「…」 「秤?」 「はっ…申し訳ございません!!」 無意識だった…望さまをシートに押し倒してしまっていた 「いや。大丈夫。秤の新しい姿見た…」 押し倒したままの私の首に不意に腕を回した望さま。 「え?」 「これでチャラね。」 そのまま引き寄せると私の唇を奪い悪戯に笑う 「望さま…」 「へぇ…秤…そんな顔もするんだね。かぁわいい…俺のこと味見する?」 「…貴方って人は…」 「ふふ…色んなお前が見たいかも」 「…さぁ。降りてください。」 ドキドキと鳴る音に気付かない振りをして望さまを抱き起こす

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