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第34話

「社長。お食事召し上がりますか?」 「いいのか?」 「えぇ。望さまには敵いませんがそれなりに作ることはできるので」 「食べたい!」 「先にお風呂でも入りますか?今日は忙しかったから疲れを癒してこられたらどうです?」 「いや。一緒に作る。手伝わせて」 「え!?」 「ね?」 「ありがとうございます。ではお願いします」 今日の社長は子供のように無邪気な強引さがある。いつもと違いすぎて正直動揺しているけれどそれを隠しながら共に過ごす… 「秤?どした?」 「いえ。今日の社長はいつもと違う気がして」 「…お前の気を引きたいため…だとしたら?どうする?」 「え?」 「秤…」 急にいつもの社長になって距離をつめてくる… 私よりも少しだけ背の低い社長。至近距離で見詰めるならばどうしても上目使いになる。 「夏さま…」 「…夏?」 「私は夏さまではありませんよ…社長。貴方は夏さまを思っている…しかし私にはその代わりは勤まりません。」 「秤…俺は」 「イザヤに何を吹き込まれたのかはわかりませんが彼の見える未来は己の力でどうとでも変えることが出来るのです。イザヤの言葉で貴方がそうしているのであればやめていただきたい」 「…違うよ。イザヤ様はこうおっしゃられた… 『お前はミカの気を引きたくてまだ夏のことを好きなように装っているのだろ?既にお前の心はミカにある。そしてミカもお前に既に落ちている。だから素直になればお前の思いはミカに届く。未来は切り開くのだ。私には二人が隣に並び天界で過ごす姿が見える…ミカは根っから真面目なやつ。恐らくお前を思ってはならない。諦めなければならない。そう思っている。私はミカには幸せになってもらいたい。人のことばかり幸せにしてきたあいつにはその権利がある。我慢なんてする必要はないのだ。愛することは種族や地位などは関係ない。雁字搦めになっているあいつをお前が解き放って欲しい。だから…素直になれ。』 誰にも気付かれなかったのに…俺の思いはイザヤ様にはお見通しだった…夏のことを思う態度をとればお前は俺の肩を抱いてくれるから…抱き締めてくれるから…だから…俺は… 秤…好きだ…どんなときも共にいてくれたお前のことが…俺は…俺も…お前とは立場が違いすぎるからこの思いは封じなければならないと…そう思ってた…でもこの気持ちばかりは止められないから…秤…俺を選んで?」

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