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第36話
アミーside
「聞いたよぉ!ミカ。望を手にいれたんだって?」
「手に入れたって…人聞きの悪い…」
今日はイザヤのとこでお茶してる。三人で会うのは久しぶり
「アミーは気になるやついないのか?」
「ないね。夏以来出会ってないもん」
「夏さまは先日、晦日さまと入籍されましたねぇ」
「うん!よかったよ。わんちゃんのとこに戻れて」
「アミー…お前は周りを見てなさすぎだな」
「ん?どういうこと?イザヤ」
「お前はあれだけ多くのものに好意を寄せられていて気が付かないのか?」
「…気付いてるよ…その類いの思いはとてもわかりやすいから…でもさ。俺は悪魔だよ?ミカみたいに加護をあげられる訳じゃない。俺といるのなら危険も伴うんだよ?命だって削られる…相手がそれを耐えられる人じゃないと無理だよ?夏はもともとそういうの強い子だったから」
「まぁ…なんせあの子には天界の者の血混じってるからね…」
実は夏の祖父は元は天界の人間だった。夏の祖母に一目惚れをし長く生きることのできる権利を自ら捨て、人となり生きた。
天界のものが人となるというのは相当な命の代償がつく
とはいえやはり純粋な人間よりは長生きだけど。祖母の最期を看取ったすぐ後に彼は亡くなった。
輪廻の和に戻り今は人として転生しかつての妻だった人と再度出会い今も人として生きている
「お前は本当に気づいてないのだな…」
「は?」
「お前の近くに魔界の血を持つものがいる…奴はどうしても人を引き付けてしまう…何せ淫魔だからな…そいつが喉の乾きを耐えお前だけから貰ってるんだ。どんな誘いも断ってお前だけ。それがどういうことかわかるか?」
淫魔は人の精液を貰い鋭気を養う。俺も似たようなものだが別にわざわざ精液を搾取せずとも人の出す負の感情だけでも生きていけるし力をつけることができる。行為に及ぶのは貰った分のお礼のようなものだ
淫魔はそうはいかない。やはり搾取しなければ力は薄れていきやがて生きられなくなる。
「どうやってでもお前のでないと嫌だと感じているようだ。だからお前を追いかけ人界に来た、お前が夏を想っていた頃よりもずっと前からだ」
「は?そんなやついないよ?」
「自分が淫魔だとわかれば元々悪魔を嫌悪していたお前が自分と交わってくれないだろうと必死なのだろう」
「…本当に…心当たりないな…」
「近くを見てみるといい…きっとわかる」
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