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出会い②

◇ ◇ ◇ あれからアダムは戻ってくる気配のない男の部屋を後にすると、何となく気になって青白い光が落ちた場所を確認するべく、その場所まで来た。車で来ていて良かった、と―――この時ばかりは思った。青白い光を放っていた物体が落ちたのは山の中で、男の館から歩いてくるとなると夜のせいで真っ暗な道を暫く歩かなくてはならないからだ。 バンッ………… 車のドアを閉める音が虫の鳴き声しか聞こえない程に静かな夜の森に響き渡る。 「あれ……確かに―――ここらへんにあの変な光が落ちたと思ったんだけどな……単なる気のせいか……」 ―――青白い光を放っていた物体だったため、てっきりUFOでも落ちたのか、と内心ではワクワクしていたアダムはその形跡がない事に対してガッカリと肩を落とした。 だが、そんな時―――、 「……うっ……ううっ…………」 割と離れていない場所から―――男の低い呻き声が聞こえてきた。あまりにも唐突な事だったため―――アダムはビクッと体を跳ねさせて驚きながらも、おそるおそるそちらの方へと目線を向ける。 肌は青く―――しかも、血まみれになっている男が倒れているのが分かった。髪は生えておらず、青白い体の所々が包帯でグルグル巻きになっている。 「なっ……なんだよ……こいつ―――何でこんな森の中で―――ゾンビのコスプレなんかしながら倒れてんだ……っ……!?」 思わず、自然と声が出てしまっていた。 しかし、ゾンビ男は一向に目を覚ます気配がない。だが、よくよく見てみれば―――苦痛で青白い顔が歪んでいるのが分かる。 「と……とにかくっ……警察に連絡……っ……」 慌てふためきながらスマホを取り出すためにズボンのポケットの中に乱暴に手を突っ込んだ。 そのせいでスマホが地面に落ちてしまった。 それを拾い上げようと身を屈めて手を伸ばした時に―――アダムはゾンビのコスプレをした男が倒れている事よりも、もっともっと衝撃的な光景を目の当たりにしてしまう。 ゾンビ男とは別の男(背格好から男だと判断した)の首のない死体が地面に倒れている事に気付いてしまったアダムは―――慌てて車の中へと戻ると一気にアクセルを踏み込もうとした。けれど、恐怖と不安に襲われているせいでガクガクと足が震えているせいか中々うまくいかない。 そして、車から出ると―――まだ生きているであろうゾンビ男だけを抱えて車の中に押し込めると、心苦しかったが誰とも知らぬ首なし死体を放置したまま、夜の森を後にするのだった。 (警察に連絡するのは……家に帰ってからにするっ……だから……許してくれっ……) 何度も、何度も心の中で謝罪しながら―――住み慣れた我が家へと向かうためにアダムは車を走らせ続ける。

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