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ヒーローに目覚める日①

◇ ◇ ◇ ジリリ…… ジリリリリッ…… 部屋の中に毎朝聞き慣れている機械音が鳴り響き、アダムは眉を潜めつつモソモソと布団の中から身を起こした。そして、ボーッとした頭の中でボンヤリと昨夜の森の中での異様な出来事を思い出した彼は慌てて自分の隣へと目線を向ける。 (あれ……っ……あのゾンビ男がいない……昨夜誰かに―――手当てした後で、ここに寝かせたのに……っ……) いつの間にか、昨夜確実に寝かせた筈のゾンビ男が―――忽然と姿を消していた。まあ、見た目が変だったからといっても彼にだって自分の生活があるのかもしれないし―――気にしない事にしよう、となんともいえないモヤモヤとした気持ちを抱えながらアダムは自分の生活をするために、ゆっくりとした足取りでリビングへと向かっていく。 ◇ ◇ ◇ チンッ………… 焼けたばかりのパンをとりに行き、トーストを咥えながらダルそうにテレビを付ける。画面の中で淡々と女性アナウンサーがニュースを読んでいた。まだ眠気が残っているせいでボーッと画面を見つつトーストを齧っていたアダムだったが―――女性アナウンサーが読みあげているニュースのある事件のテロップとそこに出ている写真を見てしまった時―――思わずトーストをテーブルの上に落としてしまうのだった。 【ニューワールド氏の別荘入口にて男性一人の首なしバラバラ遺体を発見。周囲には薔薇の花びらが散らばっており、警察は遺体はニューワールド氏本人のものであると断定し……調査をすすめています……】

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