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EpisodeⅧ

教室に戻り授業を終えると、不意に見た窓の外。オレはあの用務員を見付けた。教室の窓から見えるあの人は今もせっせと花を植え替えるために花を運んでいた。 どうにもあのコミュ力は、オレにはないもので、できれば手に入れたいスキル。 一度気になりだしたらどうにも止まらないオレの性分でもある。 部活がそろそろ始まるのだろう、クラスメイトの何人かもちらほら見かけたが、そもそもにオレは話すらしたことが無い。 クラスのヤツらの中でも限られた人間しかオレは話さないし、話せない。コミュ障なめんなよ。 そうこうしているうちに、一日は終わり自宅へと戻るとまた一連の流れが始まる。風呂に入り飯を食べて部屋に戻れば眠ることであの世界へ自動ログインだ。 ──────── 持ち家に戻ってログアウトしたはずなのに、何故かギルマスの部屋にいた。 「えっ、なんで?」 いつもの風景と違ったら誰でも驚くだろ? 目の前には個人へ向けたメッセージ受信の表示がありそれを開いた。 〝吉田ごめんな?1度召喚した人を強制召喚する事が出来る、マップスキルを手に入れたから使った途端お前落ちてさ...来たと思ったら消えるから焦ったよ。ログインしたら違う光景かもしれないから、最初に謝っておこうと思ってな!さぶ〟 いやいや、なんでオレを無断で実験台に使うんだよアイツは。まったくもってけしからん! ログイン待つか?いやいや、オレはログインを待つのは元来嫌いなんだよ。 来なかった時の絶望があるからな。 ゲームを1年一緒にやって来てそこそこに仲良くなった、そして、またねと言い残しログインをしなくなった。 そんなのはざらにある。 そして置いていかれるオレは... あー暗くなる、やめだやめだ! スクロールを開いて、人を実験台にするなと一言残し、オレは部屋を出ようとした時だった。 目の前にサブが現れた。 今ログインしたんだろう、いいタイミングだし一言文句をぶつけてから戻ろうと思ったが、サブはそこに立ちつくしたままで何も会話を投げかけて来ない。 恐らくログインしてそのまま放置って奴かと、諦めて自分のストレージに入ってた花の冠を取り出し頭の上に乗せ、赤いマントを取り出して飾り付けて部屋を出た。 ギルマスの部屋は、二階にあるから階段を降りるのだがギルドメンバーはまだ狩りに出かけていない所謂待ち合わせの時間だった。 オレが降りていけばそれはそれは不思議そうな顔をして見られるから、それだけでもうんざりしてしまう。 ただ、先日のオオカマキリの討伐でオレを知る人も少なくはないらしく、至る所でコソコソと話し声が聞こえた。 けれど会話に混ざるつもりはオレにはなく、ギルドを出ようとした時だった。 「吉田ぁ!」 大声で呼んだのは誰かなど、すぐにわかった。でも今は居心地も悪ければ、機嫌も悪いんだよオレは。 無視してドアを開きギルドを出るとその足で、久しぶりにダンジョンに潜った。 何階層まであるのかはわからないが、このダンジョンは既に205階まで攻略していてその先はオレも見た事が無かった。 ダンジョン入口横にある魔法陣の描かれたポータルに入ると、行ったことのある階は一覧となって選択できる仕組みだ。 その横に復活のポイントがあり、黒ずくめの葬儀屋がいる。所謂死に戻りしたキャラが落とす装備や、もしくは復活を望めば経験値を失わずに金で復活させてくれるヤツらだ。 「久しいの、半年ほど見てなかったのに」 初老の葬儀屋に話しかけられてオレは苦笑う。 「ほぼ引退してると同じだからな」 「吉田さんならば新人育てるのも他愛なさそうだがの?」 誰がするかよ...今のオレは心が荒んでんの!ほっといて欲しい。 「それじゃ、オレ行くから」 ポータルにさっさと進んで、111階へと飛んだ。この場所はある程度上級の奴らしか来れない場所だし、実は買い物が安いのだ。 オレは武器屋で先日使った剣を数本購入してストレージに突っ込んだ。 それから更にポータルを使って200階へ降りる。ここはモンスターが生まれない安全地帯である。

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