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Episode Ⅸ

200階の住人は所謂変なやつが多い。 レベルもそこそこ高くなくては来れないし、大抵はその前に違うダンジョンや違う狩場に行ってしまうためここまで降りてくること自体稀なのだ。 1度ポータルに記憶させると、来れてしまう場所だが、この場所のポータルは安全地帯故に199階のポータルを踏まなければ記憶しない場所となってる。 半端なレベルの奴らが来れる場所ではないという訳だ。 ここに居住を構える鍛冶師に用があって来たが相変わらず、人の気配は疎らだ。 111階よりは人も少なく、発展もしていない。 ここの鍛冶屋はちょっと特殊武器を扱っててオーダーメイドも受けてくれるし修理はもちろん見あった武器まで見繕ってくれる。 洞窟を利用した商店は、ぽっかり空いた穴を塞ぎ奥を武器置き場や鍛冶場にして、その手前で商品を売っているんだろう。 その店の前に立つと、珍しく女性の可愛いタイプの子が座っていた。いつもは厳ついオヤジなんだが...でも用はあるから声をかける。 「オヤジは?」 暇そうに、口に手を当てて欠伸をしていた女性が驚いた様にオレを見て...上から下まで見たら今度はフンと鼻を鳴らし手を下から上へと降る。 「ん?んんっ!?なんてみずぼらしい装備っ!?誰かに連れてきてもらったの?君が買える武器はないから帰った帰った」 くそぅ、可愛い顔して酷い言われようだな。金はあるし元々オレが発注してるものが出来たかの確認だけだから帰ってもいいけど...酷くね? ここでグダグダしても仕方ねぇから、帰ろうかと思ったら荷物持った鍛治職人が帰ってきた。 「あ!吉田さん!」 「オヤジ...武器の様子聞きに来たんだが」 追い返されそうになってるとは、言わなかった。店番の子が驚いた様にオレとオヤジが鍛冶場の入口に入ってくの見てたけど。 どうでもいい。 「待たせたな、せっかく龍の鱗を渡して貰っていたのに俺の鍛治職人スキルが足りなくてな...どうにか先日到達したよ」 そう言って2本の刀を出してくれた。 まだ獣の血を吸ったことの無い、綺麗な刀。 「金は?」 言い値で買ったら思わぬ副産物。鍛治職人の最高スキルで何か一つ勝手に刀にスキルが付随するらしい。 2本あるから、それぞれに良いものだと良いな...使ってみなければどんなのが付くかは、打った本人もわからないらしいけど。 楽しいおもちゃを手に入れた気分で、ウキウキどこの狩場に行こうか考えてたら、サブから返事が今頃来た。 〝怒ってんの?ごめんな?今ダンジョンの200にいるんだろ?そっち行ってもいいか?〟 オレの居場所なんでわかるんだよこのバカサブめ。 〝少しだけならいいけど?〟 そう返したら、もうポータルにいた。 ストーカーかよ。 「吉田っ!こっちこっち!」 いや、見えてるから。 嬉しそうに手をブンブン振ってて、オレもげんなりしながらサブの立ってるポータルへ向かった。 サブはストレージから馬車を出して、オレに乗れと手を差し伸べてきたから素直に乗った。 馬車と言っても後ろに荷台があり、前に馬が1頭。その馬を操作するためにサブが操縦する席に座ったからオレは荷台だ。 「どこ行くんだよ」 「散歩」 こらこら。 オレはそこまで暇人では...ないと言いきれない切なさ!!!! とりあえず、適度に進むと綺麗な川が流れる場所に到着した。 「こんな場所あったんだな」 オレも知らない景色に多少興奮気味だった。が!その前にコイツ... 「前に180位で止まってたろ?いつの間にここに来れるようになったんだ?」 「そりゃ、誰かさんが狩場行ってない間もレベ上げしたしな!」 こいつが来れるって事は、ギルメンも数人来れるようになっているはずだ。 「なぁ...吉田はロスる?」 「は?いきなりだな...どうかはオレはわからない」 もう、かなり長く強制ログインさせられてるが、いつここから出れるのかも入れなくなるのがいつなのかもわからない。 ロスはいなくなる...だから、オレが来なくなる事はあるのかと聞かれたんだが答えに困るだろ?今もどんな原理でここに来てるのかわからないのに。 「吉田...俺のギルドにおいでよ」 「やだよ、オレは一人がいいんだよ」 ごろりと草むらに寝っ転がって答えたら、隣でもサブが同じように横になった。

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