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EpisodeⅩⅢ
はっはっ、短い息継ぎにオレは持ってきた回復薬をかけてやる。
「サンキュ...てか、マジドM味わえるな」
オレの背中にベッタリ背中を貼り付けて、サブは辛うじて死なずに頑張ってる。
「オレはここの下の階層の攻略に行きたいんだ...」
だから、早く強くなれと言いたいが、そればっかりは自分の采配もあるからなと帰還バインドを渡した。
「え?」
「きつそうだし200に戻ろう」
「いや、俺のマップあと少しで全面出るから、吉田がいいならそこまで行きたい」
確かに半分超えると全体マップが出る。
ならばと、エルフの襟首捕まえてオレは向かってくる敵をひたすら叩いた。
「だから、1回は攻撃しろよ?お前の経験値上がらないままになるぞ」
そう言ってるのにサブは攻撃にもたつく。
「お前...短剣使いか?」
大抵は弓要員でエルフは参加するが短剣を使える。ので聞いたら素直に頷いた。
「えっ、なんで初めから言わない?」
「だって、吉田が強引に連れてくるから」
あーオレが悪いのか。
「時間稼ぐから、装備なおせ」
確かに戦う準備はしてこいと言ったが、ここに連れてくる事は言ってなかったし想定外ってことだな。
とりあえず、黙々と倒してたら、目の前に立ちはだかる大トカゲを、サブが切り付けた。
タゲ(狙い)がサブに移る所見たら、結構ダメージ与えたんだろう。
「へへ、待たせた」
白のローブを翻し走る姿は綺麗だなと見てたら、結構重い一撃を食らった。
たまにいるんだよ。キルモンスターと呼ばれるプレイヤーを1度殺してレベルを上げているモンスターが。
「サブ、そいつ叩いといて」
オレに結構なダメージ寄越すなら、結構なレベルのはずだ。とりあえず混乱掛けて、サブに叩かせとく。
あまりに湧いてるから、エルフ向きでは無い狩場なんだが。文句一つ言わないあたりなかなか根性あるよな。
でも、ここはエルフの狩場じゃないから、エルフのいい装備が落ちるんだよ。横に次々と湧いてくるアイテム収集のログにサブもフガフガしてた。
とりあえずサブに頼んでおいた敵を殲滅し、1度もどることに。
「マジ辛い...」
「エルフ向きじゃない狩場だからな」
「鬼か」
「褒めるなよ...」
褒めてないとぎゃーすか騒いでいたが、まぁ、いい。と、ここでオレは話があると言われたのを思い出した。
完全に忘れてたが、つらっと聞く。
「で、話って?」
「あー俺明日さぁー多分なくしたMONが帰ってくるっぽい」
あ、やっぱりだ...サブの弟は山田で決定だな...。
「へぇ、装備だっけ?」
「おう!だから、装備整ったら、またここに連れてきてくれるか?」
え?それだけ!?
いや、うん...相手がオレだと知らんしな...
「あの階層はエルフ向きじゃないから、その下に連れてくよ...でも、とりあえず色々手に入ったから渡すわ」
ぽいぽいとストレージの先頭に入ってるアイテムを渡すと、おお!とサブが奇声を上げてた。
昔の狩場なんで、オレは補正のいいのは倉庫にぶち込んでるんだよね...使わないし、やってもいいんだけど。
「いらんかったら売りな」
「いやん、吉田ったら太鼓っ腹」
「デブかよ」
「デブでもいい、吉田は安心する」
なんか物凄く落とし文句に聞こえるがまぁ...オレは男だと知ってるしまぁいいか。
うん、いい事にしよう。
「明日の夜...行くなら準備しとく」
「マジで!?経験値めちゃ良いから、行きたい!!!」
鼻息荒く、明日の約束を取り付けると急に無言になった。多分クラブチャットか何かで話してるんだろう。
「吉田ぁー俺呼ばれたー」
「行ってらっしゃいー」
「冷たい...てか、パーティーこのままでいいか?」
別に誰かと組む予定もないので承諾した。
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