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EpisodeⅩⅣ
「サブさま、吉田さま、ダンジョンクリア報酬をストレージに追加しました」
その音声にオレはゲンナリと肩を落とした。
“地上に戻りますか?”
YESとNOの表示にオレはNOを選択した。サブも飛ばない所を見るとNO選択したか。
「やった!指輪しよ!」
サブよ...なんでそんな無邪気なんだよ。
オレをじっと見てるからやむを得ずオレは指輪を選択した。
...やべぇ、男キャラ同士でハート撒き散らしてる。
「おおお!?カップル成立だな!」
「なんかその言い方やだ」
無理やり引きずり込んだくせに。
しかも、エルフの魔法に弱い敵が多かったから、結構楽勝でオレもサブもダンジョン攻略中にレベルが上がった。
赤モンスター(赤文字表示は自分よりレベルの高いモンスター)いなかったんだがな。
それはさておきだ...ここのダンジョン報酬の指輪のエフェクトがえげつない。
足元にハートの輪が広がり2人並ぶと目がチカチカする。
そして、そばに居るとハートが...バレンタインかってくらい、あちこちに散らばる。
あれだ、シャボン玉のハート版。
吹き出すんだぞ?オレとサブの間から。
勘弁願いたい...。
とりあえずひと仕事終えて、地上に戻るとサブが、外さないでねハート!と念を押して自分のギルドに戻った...。
自宅に戻り馬達に餌を与えて、ただぼんやりと過ごす。
ココ最近人と接しない様に忘れられる様に務めてたのが、一体なんだったのか。
いきなり呼び出されるわ、戦うのも飽きてたのに楽しかった。そこは感謝だな。
そして、うちの学校の用務員と知ったから、コレはオレの中の秘密に追加していたのに...。
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「お!吉田!」
呼び捨てである。
昼時間に、教室はうるさいからと中庭で食べてたら、用務員サブの本体が現れるようになった。
「ど、どうも...」
一応名前を間違えない為にも、極力話さないように務めてるのにサブは...
「今日は、購買のパンかよ!腹減るだろ!」
と、何故かオレの目の前に弁当を差し出してきた。
待て待て...オレは、ゲームの世界の“吉田”では無いんだぞ?
「食っていいぞー若者は食が大事!」
「いや、遠慮します」
思わず逃げてしまったが許して欲しい。
あの人は、オレを知らなすぎる...危険な匂いしかしない!
教室へ戻れば弟が前の席だから、兄貴の弁当貰ったの?と嬉しそうに聞いてくるし...
どこで見てたんだよ。
貰ってないと答えて、オレは自分の居場所がだんだんなくなっていく恐怖に明日からは屋上に行こうと決めたのに...
屋上には、アンジさん一行がいて、奥には男同志のラブイチャカップルがいて、よく見ればあちこちにそんなカップルが出来上がってた...
オレ負け組?
いや、勝ちも負けもないんだろうけど...
みんな楽しそうだよな。
リア充は1度爆発したらいいと思う。
そんな学校の疲労を癒せるのはやっぱり中庭と結論着いた...。
そして、夜...眠りにつくと自動ログイン...
ほんと嫌になる。
心が段々荒んでくるな。
「なぁ、吉田っ!」
「ひゃい!?」
いきなり自宅で話しかけられて驚いた。
サブ...お前はなんで人の家に居るんだよ!
イケメンエルフめ。
「ひゃいって...ボケてんのか?」
「あー...てか、なんでサブが居るんだよ」
「あー...このリング相手がログインすると、近くに呼ばれるみたいで」
使えねぇ!
「外す!今すぐ外す!」
ストレージに手をかけたら止められた。
てか、真顔だなおい!
「機能切れるから...ちょっと待って」
なんで外させてくれないんだぁぁ!
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