24 / 31
EpisodeⅩⅩⅣ
帰ったら家族は出かけてて、しかもじいちゃんの家に行くとか置き手紙に脱力した。そう言えば朝に言われた気がするけど、全然聞いてなかった...
そして、やもなく自宅で寝てると、やはりゲームの世界に飛ばされてしまった。
馬達に餌はやらなきゃならないから、行こうかと思ったが、サブのギルドに報酬付きで、頼んでるからと思い直しオレはゆっくりと横たわっていた。
何せこの世界でも身体が重く感じるのだ。一体どこまでオレと世界はリンクしているのか。
そんな事を考えながら、意識が飛ばない辛さを体感した。大抵の人は熱が出たら眠って抵抗するしその寝てる間は、身体も戦ってくれる...でもオレはそうはいかない。
「ぅーだりぃ...」
寒気もするんだよこれが。だから、その辛い時間が寝て過ごせない事に、本当に腹が立つ。昨日の出来事もすっかり失念していた。ゲームの世界に来ても、発熱の体調不良は治らないらしい...参ったな。
ソファーにごろりと横たわり、痛む関節の軋みに、気持ちが折れそうになる。本当に寝たい!眠らせて!そう願っても誰もそれを叶えてなどくれない。
熱が上がってる気がするんだよな...リアルなのかゲームなのかの判別さえできなそうだった。そして気が付けば、身体の限界だったのか意識が遠のいていた。
━━━━━━━━━━━━━━━
ふぉん...
横たわるオレの横で何かが現れた。おそらくサブだろうが、意識は混濁しててハッキリとはわからなかった。
「...よしだ?」
なんか聞こえて目は開けたつもりだが、歪んで誰かはわからなかったけど、ここでログインする奴はオレとサブしかいない。
「くる、し...さ、ぶ...」
言葉すら上手く出なくて、汗ばんでるのはリアルなのかゲームなのか。曖昧過ぎてオレには、その判断をつけることさえもできない。
「大丈夫か?苦しいのか?」
ゲームはライフ回復さえ口にしたら収まるが、今はそれとは違う。リアルとの混同に自分自身が1番翻弄されていた。
「お前、体調悪いのにゲームやんなや」
そう耳が声を拾った。その通りだと思うけどさ、オレ好き好んでログインしてる訳じゃないんだよ。
「ったく...手間のかかるガキだな」
ちょ、ガキだってなんで知ってんの!?その前に本当にサブか?アイツはそんな事オレには言ったことないのに。
そんな事を魘 されながら、頭のどこかの片隅で思っていた。
「なぁ、なんでアンタがいるんだよ」
聞き慣れた声に、思わず目を開いた。目の前には、サブの...尻かよ!
オレの前にサブの尻、その前に誰かいる。今までサブと思ってたヤツは、なんだ?家宅侵入だったのか!?
「いや、君は確か“ ながら”のギルマス(ギルドマスター)だよな?俺はナナフシの」
自己紹介を遮って、サブは1歩前に出た。前に立ってた奴が1歩下がったから、恐らくはすげぇ形相してんだろうな...
「悪ぃけど、コイツ弱ってるから、帰ってくんない?」
「君は吉田のなんなんだ?ギルドに所属してる訳でもないのに、高レベ独り占めはずるいぞ」
「狡いとか、狡くないとか、関係ないんで、今日は引いてくれ...吉田にはアンタが来た事伝えとくから」
いや、うん...来てるの言われなくても知ってるけどな。
「わかった...」
そう言い残して、ナナフシのリーダーは消えた。それにしてもなんてタイミングだよ。
「聞こえるか?吉田」
「はぁ...きこ...てる」
「あーわかった...喋んな、目を閉じてゆったりしとけ」
何がわかったんだよ。全く意味不明だ。オレは、今辛いんだよ!苦しいの!お前も帰れ!と...言い出したくても言葉も出ない。
本格的に熱が高くなったのか、本来痛むであろう節々に違和感しかない。
ともだちにシェアしよう!