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EpisodeⅩⅩVI

 目の前には大きな交差点があって、オレが通っていた小学校がその先にある。  オレはその道路を渡ろうとした時、背中から衝撃を受けて前へと押し出された。  あぁ、夢だ。これはオレが救急車で初めて運ばれた時の記憶だった。  怪我もなく、無事翌日には家に帰ったんだが、高校生位の男性がオレを抱えて必死に叫んでたっけ。 ━━━━━━━━━━━━━━━ 誰か!救急車っ!  あの時オレは薄らいでいく意識の中で、この声を聞いた。  オレは次の日にはケロッと退院したはずなのに、なんでか色んな機械に繋がれてる夢を見た。横に高校生の男の人がいて、必死にオレに呼びかけてた。親も泣きながらオレを見ていた。  えっ?待って...オレ死んでるの?全然次の日に退院な雰囲気じゃないんだけど... 「ごめんね、ごめん...」  そう言ってオレの身体を長い間動かしてくれてたのはこの人だ...あれ?なんでこんなに長い夢なんだ?そんな事を思いながら、夢と記憶の狭間でオレは沢山の光景を見た。母に謝りながらもオレの手足をひたすら動かしてる。 なんなんだよ!!  この状況が、謎過ぎて叫んでみても誰にも声は届かない。もしかしてオレは何か変な術とかに掛けられてんのか?  家に親もいた、オレに朝飯用意したりしてくれてたし、高校だって通ってる。確かにコミュ障だが、それでも何人か話す人だっている。山田弟だってそうだ。  なら...なぜオレは... 毎日夢の世界に生きてるようにゲームの世界にログインしているんだ?  頭が割れそうだった。その答えはオレの知りたくない答えだろう。そうかオレは... 「晴也(せいや)!!!」  生身の声が聞こえた気がして、オレはゆっくり目を開いた。身体が本気で苦しい。けれど今目を開けなければいけない気がした。  ゆっくりと開いた目は、すごくボケていてハッキリと顔が分からないが、人が数人いたように思う。オレの本名で名が呼ばれている。母の声だ。 「聞こえるの?晴也」 「晴也くん!」  あぁ、この声は...サブか。 オレは1体どうなったんだ?今日は、学校早退して家で一人で寝てたよな?家族は旅行でいないから、オレは1人で...サブが病院に運んでくれたのか?  1度ゆっくり瞬きをして、視線をもう一度人のいる場所に向けた。飛び込んで来たのは、口元に両手を当てて涙を流している母の姿。 (あれ?オレ...熱出して入院してんのか?)  まだ熱はある感じがした。そしてその横に、用務員のサブ...いや、山田兄がいた。 「......」 声が出せなくて、どうなってんのオレ? 目でサブを見たら嬉しそうにオレの手を握って来た。 「おはよう、吉田」  あぁ、やはりサブの声だ。おはようの意味を込めて握られた手を握り返したら驚くほど力が入らない。 「っ、ぅ...晴也...先生を呼ぶわね」  母がオレの横に置かれたブザーを押すと、ポーンと音がした。 「どうしましたか?吉田さん」 「目が!目が覚めました!先生を!!」  母が天井に向かって話しかけると、プツ...と通話を切る音が聞こえた。オレは現状把握出来ていないんだが、一体全体どういう事になってんの?てか、サブがいるってことはやっぱりオレは熱で入院してんだよな?  不可解な事だらけでオレの頭は混乱が止まらなかった。どう考えても長い間病院(ここ)にいた気がしている。熱のせいだけでこんなにも身体に力が入らないものなのだろうか?  サブはなぜ、母と一緒なのだろうか?しかも、母さんは少し老けたようにも見える。そんなこと言ったら、締められそうだけど。

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