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ぬめぬめとした全身に鱗を生やしていて、目玉がたくさんついていて、うううう、き、気持ち悪いです!!
「逃げちゃ駄目ですってば!」
えぇぇえ、無理です、どうやって戦えっていうんですかっ?
仕事熱心である非情なマネージャーたちに取り押さえられて逃げるのも叶わず、もがく海の足に、触手の一本が……。
「ああ、お助けヒロインが!」
人々の目の前で小柄な海は宙高くへ持ち上げられて逆さ吊りに。
「ヒ、ヒロインのパンツが見れるぞ!」
「カメラ向けろ!」
ああ、だめ、それだけは……!
空姉ちゃんに殺されます……!
ぶっちゃけ、正真正銘お助けヒロインの空はスカート下に冷え対策としても使える腹巻ぱんつを履いていた。
馬鹿正直な海はマネージャー達から差し出されたレースのランジェリーを渋々ながらも着用していて……。
「わわわ!」
逆さ吊り状態の海は慌ててスカートを押さえたが、触手は次から次にか弱い彼へと。
「んぐっ」
口の中や絶対領域の太腿にスケベな触手が滑り込んできた。
や、やだ、気持ち悪いです!
ああ、でもバタバタしたら留めてあるウイッグが落ちちゃいます!
仕舞いにはスカートの中へ二本のドスケべ触手が。
「んん~~~!?」
こんなトコ、テレビで流されたら空姉ちゃんに確実に殺されちゃいます……!
「クソ、ライブで押さえとくんだった!」
「いやいや、とにかく今夜の番組差替えで視聴率とるぞ!」
そ、それだけはやめてください……!
「パンチラはOKですよ!」
マネージャーさんたちまで……テレビ業界って怖いです……!
身内にまで翻弄され、絶対窮地に追いやられた宙吊りの海を助けたのは意外な人物だった。
「ちっ。調教が不完全だったな」
クロは懐に仕舞っていたメスを五指にずらりと持ち、速やかに放つと、海を頭上高くへ持ち上げていた複数の触手を一度に切断した。
急に自由を得て落下した海を芋畑の中心ですかさず抱き止める。
普段、空に梃子摺る体たらくからは信じられない身のこなしぶりだった。
「ッ……」
腕の中の海を見下ろしたクロはその異変に気がついた。
海はクリーチャーの毒に静かに確実に侵され始めていた。
「しまった、あの魔物は」
クロは舌打ちすると、マネージャーやテレビスタッフに襲い掛かるクリーチャーを放置し、海を抱き上げたままトラックに飛び乗った。
混乱する人々に知られることなくその場を走り去った……。
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