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以前、海は淫獣の毒により肉欲の虜と化したことがある。 クロが海を抱いたのは、その時だけ。 恋人同士になってから逢引はこっそり繰り返しているが、海が焼いてきたクッキーを食べたり、隣のラボに君臨するDr.グラマラスがシーラカンスなどのペットを連れて邪魔しにきたりで、実のところ、キス一つだってろくにしていなかった……。 気を利かせたおたまは二人の元を離れると水槽の一つにぽちゃりと沈んで狸寝入りを始めた。 「あ……クロさ、ん……」 剥き出しのスプリングの上で海は切なげにか細い肢体を捩じらせる。 クロはぎこちなく開かれた両足の狭間に顔を沈め、いたいけな熱源を口の中に招いていた。 温んだ口腔の柔らかな締めつけに海はピクピクと下腹部を震わせ、つい零れそうになる嬌声を掌で塞き止めた。 「ふ……ぅん……ん……っ」 「声、我慢するなよ、海」 白衣を纏ったままのクロは全裸にしたばかりの海に声をかける。 ふるふると快感にびくつく小さな隆起を根元から先端まで舐め上げ、横目で、露になった双眸を潤ませる海を見る。 こ……こんなの無理です、恥ずかしい……。 慣れない興奮に怯え、海は、クロと距離をとろうとした。 そうはさせまいと、華奢な太腿を掴んで引き戻し、肩に担ぐと、クロはより深く海の隆起を口にした。 「ひゃ……」 上下の唇に締めつけられ、器用な舌先に纏わりつかれて、海は仰け反った。 初めて施される口淫に早すぎる放精を予期してクロの肩を掴む。 「もぉ……出ちゃいます、クロさん……だめ……っ」 切羽詰った海の声にクロは顔を上げた。 今にも弾けそうな隆起にもう一度口づけして、体をずらすと、海のすぐ傍らで添い寝するように横になる。 「あっ」 クロは、今度は手で熱源に触れてきた。 先走りの蜜と唾液に濡れた海のそれをやんわりと握り締めてくる。 「や……クロさん、っ、んぅ」 しがみついてきた海にクロはキスした。 熱く上擦る吐息を味わって、縮こまる舌先を絡めとり、クチュクチュと水音を鳴らす。 握り締めていただけの手を上下に動かして擦り上げ、放精を促す。 「ふぁっぁぁっん……っ」 海はクロに導かれるがまま無意識に腰を跳ね上げて白濁の飛沫を弾いた。 紅潮した全身が一層小刻みに打ち震える。 弾かれた飛沫はクロの細長く骨張った指先はもちろん、海自身の肌も滑らせ、ぬらりとした雫を点々と垂らした。 「っ……クロさんの……手……ごめん、なさい」 塞がれていた唇が解放されると海は開口一番、涙目でクロに謝った。 クロは首を左右に振った。 頭を屈めると、滑々した柔肌に点々と散る白濁の雫を一つ一つ舐めとっていく。 内腿から腹部へ、そして、胸の突端で淡く色づく突起にも尖らせた舌先を……。 「ぁっんっ」 海は甘い声を零した。 ピンと硬く張り詰めた胸の尖りへ舌先による愛撫を惜しみなく捧げられ、達したばかりの隆起を同時に撫で擦られて、声が止まらなくなった。 「海、可愛いな」 浮つく視線を向ければ、小さな突起を舌で捏ねるクロがレンズ越しに横目で自分を見上げていた。 真摯な眼差しに海はぞくぞくと背筋を波打たせる。 そんな風に見られたら、おかしくなっちゃいます、僕……。

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