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「海、言わないんだな」 「……?」 「あの時、俺が欲しいって、何度も言っただろ」 「あ……っ、あれは、僕、いんじゅーのせいで、そんな……」 「もう俺が欲しくないか?」 スプリングに肘を突いたクロが至近距離で海を覗き込んでくる。 海は胸の内側で騒々しく響く鼓動に息が止まりそうになった。 「俺は欲しい、海が」 絆創膏が張られた手の甲にキスしてクロは言う。 誰よりも何よりも欲しいよ。 だって、俺は、お前だけのものだから。 「あ……ぁ、ぁ、ぁ……っ」 クッションに頭を沈めた海は全身を引き攣らせる。 未だ白衣を羽織るクロは、緩めた黒ネクタイを垂らし、眼鏡をかけたまま。 外気に取り出した硬く熱い昂ぶりを海にゆっくり沈めていく。 「痛くないか、海?」 仰向けでベッドに横たわる海は涙ながらに首を左右に振った。 「痛く、ないで、す……っ」 根元までクロのものが海の後孔へ埋まる。 「本当に?」 限界まで足を開かせた海の膝に手を宛がい、軽く爪を立てる。 「やっ」 「泣いてるだろ?」 両手が腰に回り、引き寄せられ、肉の奥を摩擦されて海は仰け反った。 「っ……痛くない、です……っクロさん……僕……」 自分とは比べ物にならない成熟しきった昂ぶりに押し開かれる、クロに与えられる究極感覚に、海は大きな双眸を陶然と火照らせた。 「気持ち……いいです……」 「そうか。よかった」 俺もいいよ、海。 クロは腰をつかって海の中を突いてきた。 昂ぶりが前後に行き交う度にぐちゅぐちゅと粘膜が露骨に鳴らされる。 クロの動きに同調して海の隆起は再び雫に塗れた。 「ぁ……っぁ……っクロさぁん……っやぁ……あん……あんっ」 海の両脇に手を突いたクロは揺らめく小さな体を見下ろしながら律動した。 海を快楽の渦へ誘うのと同時に、容赦なく締まる後孔の奥深くで我が身も追い込んでいく。 「好きだ、海」 上体を前に倒し、耳元でそう囁くと、汗ばむ首筋を甘噛みした。 「ぁ……僕も……っ好き……っ好きです……クロさん……っん」 クッションの下に避難していた海の両手を誘い出し、強張る指に長い指を絡め、きつく握る。 また唇を重ねれば海の方から拙いながらも舌先を差し出してきた。 「んん……っふ……ぁ……っん、ん、ん……っ」 「は……っ、海……」 その夜、クロが主のラボにて、パイプベッドのスプリングは長々と軋み続けた……。 「おはよぉ、海」 「おはよう、空姉ちゃん」 「……海、それ、何?」 「可愛いでしょう? ゴミ捨てに行ったときに拾ったんです」 空は海の腕の中でじっとしている黒い塊を繁々と見下ろしていたが、いきなりその頭をむんずと掴んだ。 「ぷぎゃっ」 「何これ、生きてる」 「ヌイグルミだよ? お、押したら鳴くんです」 マッドネスよりも手加減を知らない空から守るため、海は震えるおたまをしっかり抱き締めた。 『護衛用に緊急連絡係として渡しておく』 夜に染められていた空が白み始める頃、秘密の抜け穴前で別れる際、クロは海の額に口づけて、おたまをプレゼントしてきたのだ。 「震えてない? 気のせい?」 「気のせいです」 キッチンから出来立ての朝食の香りが漂ってくる。 空は途端におたまから興味を失うとお腹をぐるぐる言わせてそちらへ駆けていった。 ふぅ、危ない危ない。 「おたま、空姉ちゃんにも誰にも内緒だよ?」 リビングのソファの端っこで海はこっそり腕の中のおたまに囁きかけた。 マッドネスのマッドサイエンティストとお助けヒロインの弟が恋人同士だってこと。 世界中のみんなに秘密なんだよ?

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