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8-銀の飼育日誌①
マッドネス切っての変態マッドサイエンティスト、血塗れ白衣がトレードマークのDr.銀が所有するラボ入り口に「只今召喚中、開けたら即血祭り☆」と血文字入りのドアプレートが。
その通り、銀は魔界から魔物を召喚しようとしていた。
まぁ、へぼいのを適当に見繕って、キメラでも創作するつもりで。
新鮮な血液で描かれた魔法陣の前に立ち、釣竿を握った銀は、釣り糸を垂らしている。
釣り糸の先は魔法陣の中央にすぅっと呑まれている。
魚釣りの要領で妖魔を釣ろうというわけだ。
一つに縛られた長い銀髪を背に流し、銀縁眼鏡のレンズを不敵に光らせながら、銀は獲物がかかるのを待つ。
ぴくんっ
釣り糸が引かれる感触。
その瞬間、銀は、長い髪を翻して釣竿を一気に引っ張り挙げた。
ぽこんっ
釣り針にぶっ刺していたほにゃららの肉塊に喰らいついた魔物一匹、銀は釣り上げるのに成功したのだが。
「おや、珍しいですねぇ」
余計な魔物が出てこないよう魔法陣を足で消し崩すと、床に投げ出されるなり、びっくりして丸まり、足元でぷるぷる震えるそれを銀は見下ろした。
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