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10-銀の飼育日記③

「きゃああああ!」 「マッドネスだ!」 世界征服を企むマッドサイエンティスト集団、その名もマッドネス。 彼らは魔界から呼び出した魔物と自身で創造した実験体をかけ合わせるなどし、日々、強大なクリーチャを誕生させては街へと放って破壊行為を繰り返す。 戦車でさえ一掃するのに一苦労する彼らと唯一対等に戦える相手、それは。 「ヒロインだ!」 千年に一度生まれてくるという森羅万象の力を授かりし聖なる少女、その名もお助けスーパーヒロイン。 スポンサーより定められている「きゃわいい」コスチュームを身に纏った怪力少女はツインテールを勇ましく翻し、性悪メドゥーサより放たれる蛇を引き千切り、荒馬一角獣の翼をもぎ取り、獰猛サラマンダーの爪を砕く。 すべて素手で。 「荒くれお姫様、今日も勇ましいですねぇ」 車道の信号機上に立つ銀は小柄でありながら前人未到のパワーを振るうヒロインに嗜虐的唇を歪めた。 バリケードの向こうに一般市民が避難する中、がらんどうのスクランブル交差点にて、ヒロインは銀の投下したクリーチャーと戦っていた。 「僕の実験体×××君、可愛がってあげてくださいね?」 他のマッドネスならばカメラ中継がすかさず入るが、銀相手となると、どこぞのお偉い様からストップがかかる。 何故ならば彼の連れてくる実験体は毎回どれも男女の性器を象っているからだ。 ヒロインは毎度これに激怒する。 「今日こそは創造主、Dr.銀、あんたぶっ殺す!!!!!」

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