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ポンサーから再三注意されていたはずの暴言を吐きまくり、スーパーヒロイン、卑猥なピストン運動でアスファルトを移動する実験体に無人のタクシーを次から次にぶん投げ、機能停止させると、銀目掛け飛び立った。 信号機上から飄々と見物していた銀に華麗な回し蹴りを繰り出す。 アスファルトへ落下するように仰け反ってかわした銀。 そのまま血塗れの白衣を波打たせて地上に着地した。 「それって毛糸のパンツですか?」 「変態変態変態変態!!これはあったか安心な腹巻ぱんつ!!」 怒り狂うヒロインは信号機を踏切台にして勢いをつけ、アスファルトに立つ銀目指し、猛スピードで降下した。 だがしかし。 「みゃう」 銀の背中越しに覗いたみるくが視界に入るや否や、慌てて軌道修正すると。 どごぉーん!! アスファルトに複数の亀裂を走らせて轟音と共に着地した。 「なによ、あんた、小動物なんか連れてきてんの!?」 「ああ、みるくですか? 正確には小魔物ですがね。可愛いでしょう?」 「はぁ? ばっかじゃないの!? ばーかばーか!!」 「ラボに置いてこようとすると愚図るので連れてきたんです」 みるくを背中におんぶしていた銀は昔ながらのおんぶ紐を解くと、キョトンとしているみるくを、わなわな震えるヒロインの前に立たせた。 「はい、どうぞ、次はみるくと戦ってください」 「みゅー」 「しょしょしょ小動物をぶっ飛ばせるわけないでしょ!!」 「えぇ? 貴方らしくもない、怪力お姫様?」 しゃがんだ銀は後ろからみるくの両腕をとると、ヒロインに向かって、パンチするようなアクションをさせた。 「えーい、いけー、くらえー、猫耳ぱーんち」 銀に両腕をばたばたされてみるくは楽しそうにきゃっきゃと笑う。 怒れる猫の毛みたいに逆立っていたヒロインのツインテールが、たちまち、しおれた。 「なんかやる気削がれた……焼き鮭定食おかずにして牛丼いっぱい食べたい気分……」

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