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「おばさん! おばさぁん!!」
「ちょっとぉぉ!! おばさんって私のこと!?」
騒がしいノック音と呼び声に急かされてラボの扉を開いたグラマラス。
そこにいたのは。
「おばさん……たすけて……」
見覚えのないイケメン細まっちょ、だった。
細まっちょの腕の中には目を閉じた銀が。
まるでお姫様のように、大切な宝物のように抱かれている。
血塗れの白衣が何だか穢された花嫁衣裳のような。
「やだ、なにこの子、どこの王子様?」
「おばさん……ままが……」
「おばさんじゃないわよ、グラマラスお姉さまって呼びなさ、い……」
黒い猫耳、ピンクの星柄パンツの向こうで揺れる長い尻尾。
銀を「まま」と呼ぶ、この少年は、もしや。
「貴方みるくなの?」
「ままの血がとまらない……」
その時、やっと、グラマラスは普段から血塗れの白衣に広がる銀の鮮血に気がついた。
「まま、まま」
ああ、あの子が僕を呼んでいる。
でもその声はいつも聞いていた、幼い、愛らしい声じゃあない。
でも泣きべそをかいているところは前と変わっていませんね、みるく?
銀は目を開けた。
濡れた光を常に帯びる妖しげな双眸は自分を見下ろす魔物の眼とすぐに再会した。
「まま!!」
長いこと寝台で眠りについていた銀の目覚めにみるくは大喜びした。
包帯だらけの彼に飛びつこうとする。
「だーめ、傷口が開いちゃうわ」
寝台の傍らに立っていたグラマラスの言葉に、ぴたっ、みるくは静止した。
解かれた長い銀髪を枕元に流す銀は熱く疼く右肩に片目を細め、グラマラスを見上げた。
「この出鱈目に巻かれた包帯、は……貴女のイヤガラセですかね?」
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