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14-銀の飼育日記⑤

「まーま、まーま」 みるくが甘えてくる。 前と違い、図体が馬鹿でかくなっているので、擦り寄られた銀はよろめく。 「うみゃ、まま」 ふわふわのねこっ毛から飛び出た黒い猫耳。 大きな目は何とも例えようのない不可思議な色を帯びている。 またもグラマラスからもらった囚人服みたいな黒白ボーダーのツナギを着て、その下は暑苦しくない程度の筋肉むきむきな細まっちょ。 抜糸を済ませた銀の身には大きな傷跡が残された。 服を着て、血塗れの白衣を羽織り、外からは決して見えないが。 時々、ずきずきと痛む。 「まま、おねむ?」 痛み止めを服用し、うつらうつらとしていたら、すぐそばに立ったみるくが銀を覗き込んできた。 「ええ、ちょっと眠ります、お腹が減ったらグラマラスおばさんのところへ行って、何かもらうといいですよ」 「ううん、ここにいる」 血の付着したガーゼが散乱する手術台に平然と寝そべった銀の頭をみるくは撫でた。 「寝んねしないとほにゃららのえさ~だから寝んねしないと~ほにゃららのえさ~」 あらまぁ、この子、私が歌った子守唄を覚えているのですねぇ。 銀はちょっと目を見開かせ、そして、またゆっくりと瞼を閉ざした。

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