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ぐぅぅぅぅ~ぐぅぅぅ~
……何ですか、これ、イビキですか?
……いや、違いますね、これはみるくの腹の虫の鳴き声。
銀はゆっくりと瞼を開いた。
「あ、まま、おきた」
すぐそこにみるくのイケメンフェイスがある。
みるくは銀の眠る手術台に乗り上がり、自分も同じように横になって、血塗れの白衣ごと銀を抱きしめていた。
「まま、うーんうーんって、苦しそうだったから、ぎゅってしてあげたら、うーんって、言わなくなった」
「……」
「まま、いいにおい」
消毒薬と劇毒物と血の匂いが染み着いた銀にそう言って擦り寄ってくるみるく。
なんでしょう、この甘ったるさは。
ああ、やだやだ、こんなお荷物な感情、僕には不要です。
「……みるく、お腹が減ってるのならグラマラスおばさんのラボへ行きなさい」
「ままは? ままも行く? まま、連れていこっか? うん、連れてってあげる!」
みるくはひょいっと手術台から銀を抱き起こした。
お姫様抱っこされた銀はため息を殺し、みるくの好きなようにさせてやった。
「ままとおさんぽ」
みるくは上機嫌で通路と出る。
そこにタイミングよく居合わせたのは。
「……あ」
クロといい仲にあるあの少年だった。
相変わらず長い前髪で目元を隠している彼は、たたたっと、銀を抱っこするみるくの元へ駆け寄ってきた。
「もうこんなに大きくなったんですね……」
「あら、これがみるくだと、よくわかりましたねぇ」
「え? あ、本当だ、そうですね」
背中に巨大おたまじゃくしを背負った少年は自分でも驚いたような反応をして、そっと、笑う。
みるくも彼のことを覚えていたようだ。
銀を抱っこしたまま、屈んで、頭を撫でろと催促している。
「なでてー」
少年はちょっと背伸びをしてふわふわねこっ毛をよしよしと撫でた。
そこへ、今度は。
「海、誰と話してるんだ?」
銀の天敵、クロが白衣の裾を翻させて足早にやってきた。
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